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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空〜(十七)女性関係を知りたがってる? 

2015年10月02日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



由香里のそんな大胆な行動は、正直彼には迷惑だった。
好意を抱いてるくれることは嬉しいのだが、一人っ娘のせいかストレートな感情表現には弱った。

彼自身、由香里を好ましく思ってはいる。
可愛らしいとも、思っている。
唯、恋愛の対象とはならないのだ。

特に、父親の存在が大きい。大げさに言えば、彼の将来を左右しかねない存在なのだ。
蛍子の言葉が、耳から離れない。
「コネは、大事になさい」

二時間ほど高速道路を走った後、国道に下りた。
N県О市に入った。
有名な温泉町だったが、車はそこを通り過ぎて行く。
雨は既に上がり、青空に変わっている。

車中は適度に暖房が効いているが、後部ガラスの曇り具合からみて、外は相当に冷えているようだ。
いつの間にか、由香里は可愛い寝息を立てている。
彼の肩に寄りかかり、ぐっすりと眠っている。

「先生、申し訳ないですなあ」
「本当に。昨夜は興奮していたせいか、遅くまで起きていましたものねえ」
父親の声に、母親が頷いた。

「昨夜は、泊まって頂けなかったのですな。
娘が、憤慨してましたよ。私の帰りが遅いことを、詰りましてねえ。
申し訳ないことをしました。
それとも、どなたかとのお約束でもありましたか」

“ひょっとして、女性関係を知りたがってる?”
そう感じた彼は、敢えて牧子の事を話すことにした。
由香里に対しては、あくまで教え子として接していることを、宣言する意味も込めて。

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