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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空〜(十七)えいっ、えいっ、Oh! 

2015年09月17日 外部ブログ記事
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「今年の冬は暖冬傾向になりそうです」
気象予報士の言どおりに、暖かな日々が続いた。
商店街の活気は弱く、繁華街に人が溢れることもなかった。
「こう不景気じゃ、クビでもくくるしかないよ」
「そうだね。保険金をいただくしかないかねえ」
冗談とも本気ともとれぬ話が、街のあちこちで聞かれていた。
決まって最後に「入ってたらの、話だげどさ」というオチが付いて、笑いがこぼれた。
しかしその笑いは、当の本人向けられた冷笑にも見えた。

すっかり葉の落ちた街路樹が、中央分離帯で体を縮こませている。
公園内の樹木には幹の部分に覆いが取り付けられるが、道路上の樹木は、精々が枝を落とすぐらいになっている。
スリムな体型にして少ない栄養分だけで良しとするというのか。
「自然を大切に」というスローガンを聞くたびに、人間そのものの存在が自然界に悪影響を、もっと言えば破壊者ではないのか、
そう考えるようになっていた。

十二月も下旬になり、彼は冬期講習の応援を頼まれた。
久しぶりに訪れた塾は、ピンと張り詰めた空気が部屋に充満していた。
そんな中、職員全員を前にしての経営者の檄が、部屋中に響いた。

「愈々、本番です。正念場です。どうか、子供達全員が志望校に入学できるよう、一層の奮闘をお願いします。
我々は勿論のこと、受験生達には正月などありません。
例年のごとく、ホテルに缶詰にしての特別コースも設けました。
親御さん達も、非常に期待されています。

幸い前年度については、合格率80パーセントを誇りました。
しかしそれで満足してはいけません。
あくまで、100パーセントを目指します。
ランクダウンは、認められません。
親御さんの望まれる志望校を優先させます。

学校の指導は関係ありません。
不可能を可能にしてこそ、我が塾の存在価値があるのです。
どうぞ皆さん、このことを肝に銘じてください。
なお、言わずもがなですが、各自の達成率が来年の報酬に反映されます。
塾全体の合格率は勿論ですが、各先生方の達成率アップを切に望みます。
以上です、頑張りましょう」

その後、講師毎に決意表明があり、「えいっ、えいっ、Oh!」の声で、締められた。

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