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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空〜(十六)本音の気持ち 

2015年09月10日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



「そんなに上手く、行くものなんですか?」
「だから必死よ、みんな。自分をアピールすることに関しては、凄まじいものがあるわ。
もう、見ていて恥ずかしくなるぐらい媚を売ってるんだから。
今の娘は、それぞれ自分のチャームポイントを良く知ってるからねえ」

「そうなんですか。どんな風なんですか?」
彼にとっては、女性心理を知る絶好の機会となった。
相手が酔っている今だからこそ、本音の気持ちが聞けるはずだと思った。
さほどに興味はないんですよ、話し相手になっているですから、そんな風を装うようにトーンを抑え気味にした。

「例えば、目に自信がある子は、じっと相手を見つめるの。
で、目が合うと恥ずかしそうに目を伏せるわけよ。
口元に自信がある子だと、モナリザみたいに少しだけ微笑んでみたり、とかね」
「うわあ、そいつは凄いや。他にも、あるんですか、ひょっとして」
興が乗ってきた彼が素っ頓狂な声を挙げると、螢子もまた日頃の鬱憤晴らしとばかりに身を乗り出しての熱演となった。

「一番多いのは、胸元を開ける子ね。谷間なんてね簡単に作れちゃうからね。
猛者になるとね、ブラをチラリチラリと見せるのよ。こんな風にしてね」
ブラウスのボタンを外して、体を少し前に倒した。
突然のことに目を丸くする彼に、蛍子は
「あっ、こらあ! まったくもう、油断も隙も無いない子ねえ」
と、彼の頭を軽くこずいた。

「まっ、いいわ。で次に多いのが、お尻ぷりぷりね。
モンローウォークなんかをお勉強してね、ご実践なさるわけよ。知ってる? 
マリリン・モンローっていう女優さん」
「勿論、ですよ」
と答えはしたものの、あまりピンと来ない彼だった。
“吉田君に聞いてみよう、彼なら詳しいだろう”

「垂涎の的よ、男性陣の。まあいいわ。
そう、お化粧なんかも凄いわね。水商売? って、見紛うばかりに塗りたくってさ。
どぎつい真っ赤なルージュなんて、最悪よ」
彼のビールをひったくるようにして飲み干すと、大きくため息をついた。

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