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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空〜(十五) 茂作が夢枕に立った 

2015年08月01日 外部ブログ記事
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その夜、茂作が夢枕に立った。顔を真っ赤にして、怒り心頭に発している。

武士、帰って来い! 
母親が母親なら、お前もお前だ。
遊び呆けている場合ではなかろうが! 
学生の分際で、女にうつつを抜かすなど、以ての外じゃ。

あれ程に、言ったじゃろうが。都会の女は魔物じゃ、と。
所帯持ちの男に横恋慕するような女は、とんでもない食わせ者じゃ。
田舎者のお前を騙すことなぞ、赤子の手を捻るようなものじゃ。
都会の女は、派手好きでいかんぞ。
辛抱が足りんぞ。何より、礼儀を知らん!

鋭い眼光で、彼の反論を抑え付けてしまう。
一言の反論さえ許さない、往年の茂作だ。

お前の母親からして、そうじゃ。
都会に嫁がせてしまったのは、儂の一生の不覚じゃった。
チャラチャラして、帰って来おってからに。
ま、今じゃ真っ当になりおったがの。
しかし、またぞろ都会の男に熱を上げ始めておる。
お前の父親で懲りたと思っておったがの。

とに角、都会の女は許さんぞ! お前の嫁は、早苗じゃ。
あの娘は、良い娘になった。
都会に出よう等とは、考えもしとらん。
真理子を見てみよ。
都会に憧れるような女は、ろくでもないことになる。

「お言葉ですが、お爺さま。牧子さんは、そんな女性ではありません。ご両親の世話を、一生懸命されています」
彼は、搾り出すように茂作に反論した。

馬鹿者! 因果応報じゃ、それこそ。報いじゃ! 
悪行のツケが、ご両親に現れたのじゃ。
まだ、分からんのか! 都会に住む女には、実がない。

随分と昔のことじゃが、都会から流れてきた女がおった。
その日の食い扶持にも困っておったので、可哀相に思った儂は、色々と便宜を図ってやったわ。
それが、恩を仇で返しおって。
見返りなんぞ求めておらなんだ儂じゃが、それでは心苦しいからと女が言うもんじゃから。つい…。
ところがじゃ、他の男共とも。いや、村の男全てじゃった。

挙げ句には、庄屋様ん所の跡取り息子を誑かしおって。
都会に連れ出されて慣れぬ商売に手を出して、とうとう身上を潰されなすった。
全く、とんでもない性悪女じゃった。

もうお前も、一端の大人じゃ。
女に興味を持つのも、仕方の無いことじゃ。
人間二十歳を越えれば、女が欲しくなるじゃろう。
儂は、それを咎めているわけじゃない。
そんな時は、商売女にしておけ。
変な女に引っかかるでないぞ。

帰って来い、武士。
儂も、老齢じゃ。もう、長くはない。
儂を、安心させてくれぃ。のお、武士。

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