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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空・第一部〜(十四) 不用心だから 

2015年06月28日 外部ブログ記事
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小原のアパートは、築三・四十年程の古い二階建てだった。
月明かりの下、所々錆びている階段の手摺りを頼りに彼は足下を見ながら上がった。
二階の一番奥だという部屋には、煌々と灯りが点いていた。

足を止めた彼に、
「誰も、居ないわよ。不用心だから、灯りを点けているの。
ラジオも流れているわよ。女の一人暮らしは、色々あるのよ」
と、小原は笑いながら答えた。

「ひどく、ぼろっちいでしょ。来年には、建て替えるよていらしいの。
年内までの契約なの。もっとも、その前に引き払う予定だけど。さあ、どうぞ」

夜も更けて日付が変わった事もあり、二人は静かに中に入った。
牧子や耀子のマンションとは大違いで、家具らしきものは何もなかった。
六畳の部屋には、ベッドとビニール製のロッカーが壁際に置いてあった。
そして部屋には不釣り合いな、大きなラジカセがあるだけだった。

「何もないでしょ。仮住まいのつもりだから、何も揃えなかったの。さっ、どうぞ」
折り畳み式のテーブルを引っ張り出すと、ベッドを背に座るよう勧めた。

「貰い物なんだけど、開けましょね」と、コニャックを持ち出してきた。
「足、崩してね」
正座をしている彼に、グラスに半分程を注いで渡した。

飲み慣れないブランデーを前にした彼は、
「良いんですか? こんな高級なお酒」
と、不安気な表情を見せた。
「ごめんね、ビールは無いの。待って、水割りにしてあげる。ストレートは、きついでしょうから」
改めて台所から水差しを持ち出した小原は、慣れた手つきで彼にグラスを差し出した。

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