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現地調達できなかった　

2015年05月22日
テーマ：旅

一昨年、南アフリカへ行った。

行きがけの飛行機の中で、既にハイテンションになっていた私は、飲みかけの赤ワインを、隣の席に座っている主人の上にこぼしてしまった。

主人は旅行の時は最低限の荷物しか持たないタイプなので、その時も普段着のパンツの代えは持参していなかった。

何かあれば、現地で買えばよい、という考えが潜在的にあるし・・。

だが生憎、到着地のケープタウンは治安の悪い場所のランク付けで、世界第三位という土地柄であった・・。


飛行機を降りて、指定されたホテルに向うタクシーは、ケープタウン市街とは逆の方向に向っている。

車の窓からは、トタンで囲われた黒人居住地と思われる場所が、いくつも見えた。

着いたのは、高級住宅地や、ホテル、作りかけのショッピングセンターなどが、ケープタウンからはやや離れた郊外に、孤立して作り上げられた、特別区の様な一帯であった。

デニムのパンツが売られている様な場所には、簡単にたどり着けそうにもなかった。


ケープタウンまでは電車で20分、とホテルの案内書には載っていたが、公共の乗り物には乗るな、単独行動はするな、というのがガイドブックの最大の忠告である。


幸いその日は、主人の予定が何も無かったので、ホテルに到着後、三時間位、私は白っぽいチノパンツから赤ワインの痕跡を消すために、奮闘した。

それは、旅行の持ち物として、「足りなければ現地で調達すれば良い、山奥に行くわけじゃなし・・。」という常識が、実感として覆された瞬間だった。

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