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ビーバーテイル 

2015年03月29日 ナビトモブログ記事
テーマ:カナダ

カナダの首都オタワに住むことが決まってから、ガイドブックを読んでいると、「オタワ市内には、リドー・カナルという運河が流れていて、冬になると全面凍結し、世界一長いスケートリンクになる」という文章が目に入った。

当時小学生だった子供たちは、北国育ちの父親に連れられて幼いころから雪山に行き慣れていたので、東京の子供としては、ウィンタースポーツには馴染があった。

秋の終わりにオタワに着いてすぐ、皆のスキー道具を調達したくらいだ。


オタワは、首都として人工的につくられた街だそうで、緑豊かな美しい景観であった。

街中を流れる運河は、着いた頃はまだ満面に水を湛えていたが、川と湖とをつなぐ運河なるが故に、水量の調節ができて、冬になると水面を低くして全面凍結させるとか。


私は、スポーツには余り食指の動かない方なのだが、このスケートリンクは体験してみたいと思った。

それからは、週に3,4回は屋内のスケートリンクに通った。


オタワ市内には、公立のスケートリンクがいくつかあって、アイスホッケーや様々なスポーツの練習場所になっている様だったが、それぞれ週に一度位の一般公開日というのがあり、曜日が重ならない様にスケジュールが組まれていた。


それを新聞で知った我が家では。

朝主人が、車のトランクに4人分のスケートを積んで出勤する。

夕方になると、私達三人はすぐにも出かけられる状態で、主人の帰宅を待つ。

車の音がすると、たちまち外へ出て車に乗り込み、その日に開放するアイスアリーナへ向かって、出発するのである。


お蔭で、オタワ市内は随分走り回ったし、ビギナーだった私も生来の真面目さでコツコツと練習し、何とかつかまらずに立てる程度まで、こぎつけたのだった。


そして、ついにカナルのリンクがオープンした。

スイスイと、両腕を後ろに組んで滑って行く若者も居れば、バギーを押しながら滑る若いお母さんとか、リュックサックをしょっていかにも通勤中という人も居るし、端っこをスノーブーツで歩いている年配者もいる。


私も、おっかなびっくり、よちよち歩きの様な、知人には絶対遭遇したくない有様ながら、何とか冬の風物詩の中に入り込んでいった。


全長8キロ弱という世界一の長さなので、ある日息子が、「今日は、全部滑ってみたい」と言って、父親と二人で出かけて行った。

娘と私は留守番をして、テレビで「メアリー・ポピンズ」を見ながら、すっかり夢中になっていた頃。

息子が、意気揚々と戻ってきて「僕、ビーバーのしっぽを食べてきた!」と自慢げに言う。


何のことかわからないながら、私は瞬間、気持ちが悪くなったのを覚えている。

主人に訊いてみると、ドーナツの様な味で大きな油揚げの様な格好したお菓子で、皆がかぶりついて食べていたそうだ。

カナルのスケートリンクで売っているらしい。


そして数日後、私も、現地で「ビーバーテイル」と呼ばれるそのお菓子を目指してカナルへやってきた。

お菓子の形が、ビーバーのしっぽに似ているから名づけられたらしい。

息子が、「ビーバーテイルを頼むときは、シナモンシュガーも一緒に、って言うといいよ」と、経験者らしく教えてくれる。

つまり、トッピングは何にするか、訊ねられるという訳だ。


教えられた通り、すかさず「シナモンシュガー」と言ってみたが、何故か(いや、勿論発音のせいで)通じない。


私の英語は、覚える際にどうしても頭の中で一度文字にしてしまい、ひどい時には更にそれをカタカナにしてしまうのだから、現地の人に通じる筈はなかったのだ。



ネットで調べてみると、「ビーバーテイル」とは、元々オタワ特有のスイーツで、カナルのスケートリンクで売り出してから爆発的に売れ、今では全カナダで販売されている、と書かれてあった。

レシピも沢山出てきた。



今朝は、老夫婦の為に自己流ビーバーテイルを作ってみた。

シナモンシュガーをかけて、更にメープルシロップもかけて、超カナディアンの朝食。

でも当然ながら、寒い中で食べるスナックと、温かいお部屋で食べるシニアの朝食では、味わいが異なる。

やはり我々には、普通にホットケーキあたりが、丁度良い。



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土地によって

シシーマニアさん

Reiさん、こんばんは。

コメントありがとうございます。
海外に限った事でもないですが、知らない土地に住むのは楽しいですね。食べ物も、その代表的な楽しみの一つです。

美味しいチーズや、生ガキとか、その土地ならではの食物は最高ですよね。愛知県に移り住んでからは、新鮮な海産物を堪能しています。

2015/03/29 21:16:09

発音は大事ですけど

シシーマニアさん

師匠、こんばんは。

暖かいコメント、ありがとうございます。この年になっても、師匠に褒めて戴くと、とても嬉しいです。

海外生活は言語が基本ですが、年齢を重ねると、伝えることが第一なので、かっこいい発音など目じゃなくなります。

でも、師匠の一句に乗せてみれば、

面白うて、やがて迷いし、我が英語

といったところでしょうか。周りの人たちが、随分振り回されていた様です。

2015/03/29 21:06:20

異文化

Reiさん

外国で生活すると、日本では経験できない色々なことが体験できますね。

私もシナモン大好きです。
パンやドーナツも、シナモン入りのをよく食べます♪

2015/03/29 13:59:20

楽しい文ですね

パトラッシュさん

異国の風物詩。
その中に溶け込む、一つのファミリー。
それらが、生き生きと語られております。
そして、作者自身も。

私が「なるほど」と感心したのは、↓この部分。

> 私の英語は、覚える際にどうしても頭の中で一度文字にしてしまい、
> ひどい時には更にそれをカタカナにしてしまうのだから・・・

上手い。
言われてみれば、その通り。
多くの人の思い当たるところです。

2015/03/29 13:43:50

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