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敏洋’s 昭和の恋物語り

長編恋愛小説 〜水たまりの中の青空・第一部〜 (十)  

2015年02月16日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



土曜日の夜、寝付かれないまま何度も寝返りを打っていた。
相合い傘の中でのことが頭の中を駆けめぐり、興奮状態が収まらなかった。
あの夜もそうであったが、今夜はそれ以上に興奮していた。

「いよいよ、明日だ。予報だと雨なんだ。また相合い傘になるんだ」
いつもならうっとおしく思える雨が、今度ばかりは是非にも降ってくれと祈る思いだった。
できれば土砂降りがいい、とさえ考えてしまう。

「どうしょうか、僕の傘は大きいからなあ。やっぱり、牧子さんの傘に入れてもらおうか。
いっそのことに、傘を隠しておこうか。
持っていないことにすれば、いいんだ。不自然かなあ、傘が無いというのは。
そうだ、骨が折れていることにすればいい。
牧子さん、どんな服だろう。やっぱり、ブラウスかなあ。
僕は、絶対半袖だ。いっそ、Tシャツにするか…、まだ少し早いかな? 
映画館の中は、冷房が効いているだろうし」

牧子の腕に触れた、その感触が忘れられない彼は、どうしてもそのことが頭から離れなかった。
「一体、どうしたんだろう。こんなにドキドキした夜は、初めてだ。
麗子さん、貴子さんにしても、こんなに寝付かれないことはなかったぞ。
僕よりもずっと年上の女性なのに」

ベッド脇の目覚まし時計は、既に午前二時を回っていた。
なのに、あくび一つ出ない。体が熱く火照って、喉も渇いている。
勢いよく飛び起きた彼は、明日の服装の点検を済ませた。
何度繰り返すんだ、と苦笑いをしてしまった。
冷蔵庫から冷たい麦茶を取り出し、勢いよく喉に流し込んだ。
窓から見える空には、月も星も無かった。しかし、雨はまだ降っていない。
「頼むぞ、降ってくれよ」

「一、二、三、四、……」
目をしっかり閉じて、一心に数え始めた。
しかし、その数が三千になっても、頭の冴えは収まらなかった。

「どうしょう。赤い目で会うわけには、いかないぞ。欠伸なんぞすることになったら、えらいことだ」

焦れば焦るほど、気持ちのざわめきが激しくなった。
閉じた瞼の裏側に、牧子のピンク色の唇が色鮮やかに浮かび上がってきた。
滑らかな曲線の上唇や肉感たっぷりの下唇が、これでもかとばかりに彼に襲いかかってきた。
彼の心臓は、早鐘のように激しく動き始めた。
何とか打ち消そうと、寝返りを繰り返したが徒労に終わっていた。

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