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パトラッシュが駆ける!

たかが盤上の 

2013年04月19日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

「先生は急に、用事が出来てしまってね」
M子とK太に、伝えねばならない。
「ごめんよ、行って上げられないんだ」
謝らねばならない。

ピアノの発表会なのである。
その話が出る度に、私が生返事を、していたからだろう、
二人は、私が来てくれるものと、勝手に思い込んでしまっている。

私には「たかが」という頭がある。
私は、音楽の先生ではない。
彼らに、囲碁を教えているに過ぎない。
親戚でも何でもない。
たかが生徒の私事に、そこまで深入りすべきか・・・
という頭がある。

それでも、他に予定がなければ・・・とは思っていた。
電車で数駅のことだ。
花でも買って、出かけようかと思っていた。

しかし、その同じ日に、新たな予定が、浮上してしまった。
どちらを取るか・・・
これは結局、人で選ぶよりない。
その新たな浮上者が、近所のおじさんであったなら、
私も悩まなかったであろう。
遠来の、しかも若い女性の生徒だから、それで困っている。

彼女、電車に乗り、やって来る。
一時間かかる。
だから、滅多に来られない。
M子、K太の姉弟は、歩いて3分のところだ。
のべつ来る。
遠来の彼女に「どうぞ」と言うより、ないではないか。
私の選択に、間違いはなかったと思っている。

 * * *

少しずつ生徒が増えている。
サロンの主としては、喜ぶべきことだ。
「ご繁盛で、結構なことです」
通りかかりの人が、言う。
「楽しそうですね」
言いながら、人の顔を見て、にっと笑ったりする。

この笑いに、透けて見えるものがある。
「金物店をやっている時より、活き活きとしていますね」
これは素直に受け止めたい。
その通りであるのだから。

「若い女性のお弟子さんだと、とりわけ張り切っておられるようで」
とは言わないが、言っているような、そんな笑いをする人が居る。
私のサロンは、元金物店の店舗であり、道行く人から、丸見えなのである。

にわかに顔を引き締めたって、もう遅い。
そうだよなあ・・・
確かに、おじさん連を相手にするより、私は楽しいのだから、
顔だって、緩んでいる。
これを「やに下がっている」とも言い、その下がりようが、自分でもわかる。
世間の目には、なおさらであろう。

 * * *

十年後、生徒達がどうなっているか・・・
これを見たいもんだと思っている。
特に小学生だ。

囲碁を続けているかどうかは別だ。
どんな人生を送っているだろう・・・
ここに興味がある。

私は、教育者ではない。
それでも、若者の将来に、ほんの少しだが、影響を与える可能性がある。
たかが囲碁でもだ。

そのことを薄々、感じている。
例えば、生徒の才能によっては、プロになる可能性だって、なしとはしない。
M子やK太にしてもだ。
もっとも、その時は、さっさとプロの師匠に、
引き渡すつもりでいるのだが。

 * * *

M子もK太も来ない。
待っていると来ない。
電話をした方が、いいかもしれない。
音楽会は、明日に迫っている。

たかが生徒、されど生徒だ。
たかが盤上の遊技、されど玄妙なる対話の世界。
そして、そこでの偶然なる出会い。
たかが生徒の増加、されど、この身は一つ。
それで困っている。



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生徒さんい愛されているんですね

みのりさん

パトラッシュさん

可愛い生徒さに愛されているんですね

時間が出来れば行ってあげたら
どうですか〜〜♪

2013/04/23 11:21:08

次の世代へ

パトラッシュさん

「先人が享受することはない」
「先行する者の、不可欠の責務」
まったくその通りだと思います。
次の世代を、育てることにこそ、私達の力を、注がねばなりません。

教育ばかりではありません。
昨今の、国の財政を見る度に、思います。
借金を、次の世代に押し付け、年配者が享楽しては、これを本末転倒と言わずに、何と言うべきでしょう。

「次の世代のために」
これこそが、私たちシニアの、根本理念でありたいと、こう思っております。
良書の紹介を、ありがとうございました。

そして、拙文をお読み頂きましたことにも、心からのお礼を申し上げます。

華ちゃん、ありがとうございました。

2013/04/21 19:36:01

人生の道標

さん

古本屋で見つけた「小さな人生論」著者 藤尾秀昭
100円で買えた本ですが、忘れかけた大切な何かを思い出させてくれる・・。
お値段以上にヒット本でした。
その中に「人を育てる」にふれている文面がありました。
* * * * * *

一人ひとりを丁重に教育し、根づかせ、成長をうながす。だが、そうして育てた人たちが担う時代の
豊かさを、先人が享受することはない。
それでも人を育て続けなければならない。
それは命を受け継いで後から来るものに対する、
先行する者の不可欠の責務なのだ。

* * * * * *

 十年後、生徒がどうなっているか・・・
 これを見たいもんだと思っている。
 特に小学生だ・・・

ご自身がかかわった子供の成長は大きな喜びですね
是非、見届けてくださいね。 
人を育てる喜びは後からついてくるのでしょうか。

2013/04/21 18:57:22

頑張らねば・・・

パトラッシュさん

囲碁は今、ブームとは言えないまでも、
ちょっとした人気に、なっているようです。
かつては、おじさん達の道楽と見られていましたが、最近は、女性の参加者が、増えています。
子供も同様にです。
そうですね、一過性に終わらせたくは、ないです。

2013/04/21 17:42:46

色々有る中で

我太郎さん

優先すべき順序は間違ってないと思います
囲碁の生徒である以上、囲碁優先は当然ではないでしょうか
その点をはっきり伝えれば良いと思います
先生と生徒の間柄が崩れる時は、何時かは分かりませんが、その時は優先順位を考え直せばと思います
昨日ある有料公園に行きましたが、イベントで子供囲碁教室が開催されていました
親子で沢山の人が来ていて、今ブームなのかなと思いました
一過的な現象に終わらせない責任は、パトラッシュさんにも有りますよ〜

2013/04/21 12:22:21

なるほど・・・

パトラッシュさん

ばらつきは、いけませんね。
よくわかりました。

2013/04/19 14:47:00

発表会

喜美さん

子供さんたちは 喜んでいたでしょうね 私だったら生徒さんの碁以外のことは初めからいかないと思います
一人行って行かない人もあると子供は
ガッカリ どうして私のところは来ないのかと 初めから先生は見えない人
と思っていれば当たり前になるでしょう 今度はお花でも送ったら子供はそれで満足しますよ

2013/04/19 13:38:58

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