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パトラッシュが駆ける!

邪魔者は殺せ 

2012年08月17日 ナビトモブログ記事
テーマ:テーマ無し

人を殺してしまったことがある。
と言うと驚かれるだろうが、もちろん、現実にではない。
私は、小心者であり、昨今では、虫も殺せなくなっている。

昔短歌をやっていた頃、成り行きで、母を故人にしてしまった。
「亡き母の 吾(あ)を叱りしに 似し声の 
聞こゆれば歩を 止めにたりけり」 
健在の母では、どうも弱い。
それでとりあえず、死んでもらった。

母がこれを見たら、かんかんに怒るであろう。
しかし、その気遣いはなかった。
母は短歌なんぞに、何の関心もなかったからだ。
私は、やりたい放題をやっていた。
小説の中で、友達を殺してしまったこともある。

 * * *

先刻まで元気だった者を、交通事故に遭わせ、死なせてしまう。
突然の波乱に、緊張が走る。
そして、一人の人物が消えたことにより、
その後のストーリー展開に、変化をつけられる。
行き詰っていた物語が、スムーズに動き出したりする。
これを利用しない手はない。

但しである。
事故は今時、何処でも起きるとは言うものの、
誰もがこれに遭うわけではない。
しばしば起きるとも言えるし、滅多に起きないとも言える。
心臓麻痺にしても同じだ。
皆が皆、胸を抱えて、苦しみ出すわけではない。

ああ、やったな・・・
私はドラマの中に、不自然な死を見ると、
そこに先ず、安易さを感じてしまう。
次いで、作者の行き詰まりを想像してしまう。

特にそれまで、順調に進んでいたドラマの場合だ。
殺す必要があったのか・・・
他に方策がなかったか・・・
それを考えてしまう。

NHKの朝ドラ「梅ちゃん先生」である。
スタート当初から、楽しく見続けていた。
敗戦直後の物語にしては、服装などがきれい過ぎる。
こんな批判はあったらしい。
しかし、忠実に当時の世相を再現することも、
これまた難しい。
私はそういう細部には、目をつぶろうと思っている。

ヒロイン梅子に影響を与えた町医者の、
坂田なる人物が、死んでしまった。
事故である。
選りによって、自分の誕生日を皆が祝ってくれる、
その夜である。
パーティのケーキを買いに出てである。
おいおいおい・・・
ちょっとやり過ぎじゃないのかね・・・
死んだと聞いた、その瞬間に思った。

きっとご用済みになったのであろう。
ストーリーの展開上、この先はもう、要らないからであろう。
ドラマはそれまで、大きな違和感のないままに進んでいた。
それだけに、少しがっかりした。

しかし、朝ドラは、その後も見続けている。
許容の範囲内としなければなるまい。
些細なことに、目くじらを立てたら、見るドラマがなくってしまう。

* * *

私だって、人を殺したいと思うことがある。
小説風エッセイを書いている時だ。
やっちまおうか・・・
その欲望に駆られる。
脳卒中、心不全、ガン・・・
交通事故以外にも、使えそうな道具は、いくらでもある。

しかし、踏み切れない。
読者を納得させる自信がないからだ。
「取って付けた」という言葉がある。
そう思われたくないからだ。
「これ、嘘だろ」
こう言われることに、耐えられないからだ。

私のような小心者は、小説を書くには、
向いていないのかも知れない。
虚構というものにさえ、責任を感じてしまうからだ。
だから、身辺に起きた、当たり障りのないことを書いている。

と言いたいが、これは嘘である。
私が未熟だからだ。
上手く書けないからだ。

人を殺したところで、殺さない作品と、五十歩百歩であるなら、
何も無益の殺生を、する必要がない。
それだけのことである。
母や友人を殺したのは、若気の至りであった。



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課題です

パトラッシュさん

「真を写す」というくらいで、写真はやはり、
加工などせずに、ありのままがいいですね。
そこで発揮出来る、撮影者の腕、これが肝心なのだと思います。
小説は自由な空想の世界ですから(私小説は除き)
逆にその空想力が試されるところもあります。
私の場合、その辺が貧困で、永遠の課題ともなっております。

2012/08/19 13:26:09

我太郎

我太郎さん

小説や絵画は作者の思いのままってのが良いなと思わずおれません
写真だとそれが出来ないんですよね
もっとも、邪魔だと思えばソフトで消せるし、バックを替えることも出来るらしいですが、そんなんやったら写真撮る意味が無くなると思います
小説は逆に面白くなるとは羨ましい
私には絵画も小説も駄目ですが

>それでとりあえず、死んでもらった

小説ではなく現実の世でこれを使う人だっているそうなので、なんのなんの

>「これ、嘘だろ」

元々架空の世界ゆえそれは無いのでは?
読み手も盛り上がるなら大いに使うべしでしょう
問題はおおせのように、取って付けた感をいかに無くすか

>母や友人を殺したのは、若気の至りであった

私はそうは思いませんが、当人が知ったらやっぱり嫌な思いをするかな?

2012/08/19 08:02:18

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