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パトラッシュが駆ける!
笑えませんがな生活保護
2012年05月25日
テーマ:テーマ無し
お笑いタレント「某}の母親が、生活保護を受けていたとかで、物議をかもしている。
某などと、遠慮する必要もないのだが、私はテレビをあまり見ないものだから、
芸能人の名前もろくに知らない。
その某の年収が、五千万円あるのだそうで、これには魂消てしまった。
私は、お笑い芸人とは、もっとずっと貧乏だろうと思っていた。
例えば落語家など、寄席芸人を見るがいい。
どうかすると、食って行くのがやっとだったりする。
しかし、それでも辞めない。
好きな道だからであろう。
五千万が本当なら、この話はもしかしたら、“やらせ”あるいは“ふざけ”かとも思った。
笑いのネタにするため、わざと仕組むのである。
しかし、これはさすがに、母親を巻き込んで、そこまではやるまい。
世間では普通、母親を「最愛の」と修飾し、敬慕している。
某は、どんな顔をして、人を笑わせるのであろう・・・
それを見たいと思っていたら、本日記者会見をやるのだそうだ。
その名も、はっきりと今朝の朝刊に出ている。
きっと彼は、平身低頭するのであろう。
そうなるともう、私はその顔を見たくもない。
* * *
「俺んち、実は生活保護を受けてたんだ」
小学校の同級生、Yが言ったのは、卒業から二十五年も経った頃であった。
酒席でのことである。
「俺んちもだ」
Sが呼応した。
告白は、告白を呼ぶのかもしれない。
Yのところは、父が戦死したので、母子家庭だった。
五人兄弟であり、つまり子沢山の家であった。
母一人の稼ぎで、一家が食べて行くのは、大変であったろう。
Sのところでは、父親が病弱で、何時行っても、ぶらぶらと家に居た。
私は万事につけ、鈍い男であり、深く考えもせず、こういう家もあるのだと思っていた。
実はと言われ、ああそうだったのかと、二十五年も経ってから、疑問が解けた。
YもSも子供心に、さぞ辛かったであろう。
それでも、その過去を、笑って話せるようになった。
歳月のせいだ。
そしてもちろん、彼らが努力をしたからだ。
二人とも、立派に一家を構え、社会においても、それなりの地歩を築いている。
私達の世代では、ごく一部の恵まれた家庭を除き、貧しさこそが共通の原体験であった。
「今にきっと・・・」
多くの者が、心に期して、人生を歩んだ。
それこそ、坂の上の雲を見るように・・・である。
保護に頼った身なら、なおさらであろう。
生活保護は、なくてはならぬ制度であった。
これに助けられ、人生を好転させた者が多かったことを、忘れてはなるまい。
だからである。
私は税金を払う側に居ることを、幸せと思っている。
* * *
「都営住宅に住んでるあの人ね、生活保護で暮らしながら、車には乗るし
伊豆に別荘も持っているんだってよ」
こんな噂を聞いたことがある。
真偽のほどはわからない。
しかし、火のないところに、煙は立たないとも言う。
「車も別荘も、倅のものです。私は利用しません。
倅とは不仲であり、扶養を受けるわけには行きません」
こんな言い訳が、聞かれそうな気もする。
生活保護に使われる国の年間予算が、三兆七千億円にもなるそうだ。
受給世帯もまた、増加の一途を辿り、戦後の混乱期を抜いて、史上最高を更新しているとか。
この豊かな時代にである。
不正はあるのだろうな・・・
それが発覚するのは、氷山の一角であろうな・・・
そんな風に推測している。
しかし一方で、このセーフティネットを本当に必要としている人々も居る。
だから、制度そのものは、守らねばならない。
今は平穏に暮らしている私達だって、何時不運に見舞われ、これの世話にならないとも、
限らないのだ。
* * *
アントニオ猪木というプロレスラーが居る。
いや、居たというべきだろう。
今は何を業としているのか、私は知らない。
一時は、参議院議員になったりもした。
私はこの男が嫌いだ。
偉そうに、気合を入れると称して、人にビンタをかませたりする。
いや、そんなことはどうでもいい。
彼がかつて、税金を滞納していたからだ。
彼は、国から差し押さえを食らっても平然とし、時に開き直り、傲然としていた。
国政に関与する者がねえ・・・
私はあきれてしまった。
巧妙に立ち回り、自分だけは、共同の責務を逃れるという、その根性。
私はこれが、何より嫌いだ。
例えばである。
クラスで教室の掃除をやる時に、毎度逸早く、逃げてしまった同級生を思い出す。
商店街で共同作業をやった時に、体調を理由に欠席し、実は飲み屋で飲んでいた男が居た。
それを思い出す。
生活保護を不正に受給する人々も、同じことだ。
窃盗などの犯罪は、もちろん許されないが、刑法の厳しい処罰が待っていて、
因果のバランスが保たれている側面もある。
不正受給は、そこが甘い。
ばれたら返上すればいい。
そんな見くびりが、彼らの虚偽の中にあるのではないか。
窃盗犯よりむしろ、卑劣であるような気がしてならない。
* * *
「先ず、住居を決めてですね、住民登録をして下さい。そうすれば生活保護が受けられます」
公園のベンチに座った男に、女性が話しかけている。
男の境遇、女性の立場というものが、おおよそ察せられる。
「そんなもん、要らん」
男の口から出た言葉は、意外であった。
それ以上、彼は何も言わない。
言わなくてもわかる。
彼なりの気概であり、もしかしたら、哲学であろう。
彼女の善意も使命感も、これを前にしては、引き下がらざるを得ない。
公園には、また静けさが戻った。
これを潔いとばかりは言えまい。
しかし、いいではないか、彼のその一徹たるや。
芸人某と、その母親に、この光景を見せてやりたいと思った。
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まったくです
ほんとですね。
若いのに、働かないで、安易に行政に頼る者が、多すぎます。
実に、腹立たしいです。
見ないつもりでしたが、つい記者会見のテレビを、見てしまいました。
「認識が甘かった」との言い訳に、「甘いなんて次元の話ではないだろ」
思わず、テレビに向かって、毒づいておりました。
本当は、もっと厳しく糾弾したかったのですが、
人様にお読み頂く文としては、あまり感情に走ってもいけません
それで、努めて抑えた表現にしました。
何かの時に、また取り上げてみたいと思います。
この事件を契機に、不正受給が減るといいのですがね・・・
2012/05/25 19:36:20