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『正義の政治経済学』 <旧>読書日記1570 

2024年03月25日 ナビトモブログ記事
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水野和夫・古川元久『正義の政治経済学』朝日新書

対談という形式の本は立場の違う間同士が真剣に議論するのであれば面白いと思うが、主張が似たもの同士の対談は緩くなってしまうと思う。

水野和夫:経済成長の時代は終わったとするゼロ成長論者。法政大学教授。
古川元久:8期連続当選している国民民主党所属の衆議院議員。「足るを知る」という智慧を世の中に広げて調和の取れた社会の実現を目指す(古川元久オフィシャルサイトより)

という二人の対談であるが本書はどちらかと言うと、似たもの同士の対談であり、それならばもう少し主張が明確になっても良いかと感じた。と言うか主張される「正義」の根拠は一体何だろうと思った。

[目次]
はじめに・・・古川元久
【第一章】歴史から問い直す
グローバリゼーションと資本の暴走〈/雇用の調整弁〉としての派遣制度/ゼロサム競争の限界を知る/成長教を捨て、〈サステナブル〉な社会を etc.
【第二章】資本主義を問い直す
「令和の小日本主義」を考える「/居住面積倍増計画」と地方分散型社会/今こそ金融取引税の導入を/コロナバブルを乗り切るために etc.
【第三章】民主主義を問い直す
イデオロギーを超えて思考する/民主主義国家の〈正義〉と〈コモン〉/民主主義における多様性「/定常社会」の〈幸せ〉を見つめ直す etc.
おわりに ・・・ 水野和夫

資本主義はその経済体制を放置すると暴走し、貧富の差が拡大すると言うのは常識であろうと思う。社会主義はそのアンチテーゼとして生まれたはずであるがソビエト連邦の崩壊(これも当然であったと私は考えている)によって、資本主義・市場経済のみの体制に戻ったところで抑制が失われたのが現状の貧富の差の拡大の説明であると私は考えている。

ただその現状に対して、本書の主張「道徳、倫理、法律そして歴史を礎とする政治経済学こそが針路となる」と言うのは人間の欲望という強敵に対して弱すぎるし、実践も難しいだろうと感じている。もう少し強力な理論を望むのは無理だろうか。
(2021年9月12日読了)



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