読書日記

『掌の中の小鳥』 読書日記364 

2024年04月27日 ナビトモブログ記事
テーマ:読書日記


加納朋子『掌(テノ)の中の小鳥』創元推理文庫(図書館)

ちょっと、読むものが空いたので図書館に行って棚を眺めていた。すると『ななつのこ』を書いた著者の本が3冊並んでいた。そのうち2冊はシリーズの続編で、本書は独立した一冊。本来ならばシリーズを借りるのであるが、2冊のうちどちらが先か判らない。ということでシリーズ外の本書を借りてきた。

背表紙の内容紹介では
ここ〈エッグ・スタンド〉はカクテルリストの充実した小粋な店。謎めいた話を聞かせてくれる若いカップル、何でもお見通しといった風の紳士、今宵も常連の顔が並んでいます。狂言誘拐を企んだ昔話やマンションの一室が消えてしまう奇談に興味はおありでしょうか?ミステリが好きなあなたには、満足していただけること請け合い。−−お席はこちらです。ごゆっくりどうぞ。

■目次
「掌の中の小鳥」
「桜月夜」
「自転車泥棒」
「できない相談」
「エッグ・スタンド」

という5つの短篇からなっている。扉にある文章が各話の内容を端的に示しているので写す。

たぶん僕は変わったのだ。四年前にはとてもできなかったことが今の僕にはできる。−−−本書全体のプロローグと言える第一話「掌の中の小鳥」で真っ赤なワンピースの天使に出逢った主人公は,一緒に退屈なパーティを抜け出した。狂言誘拐の回想「桜月夜」で名前を教わり、御難続きのエピソード「自転車泥棒」や不思議な消失譚「できない相談」を通じて小さな事件に満ちた彼女の日常を知るにつれ、退屈と無縁になっていく自分に気づく。小粋なカクテルの店<エッグスタンド>を背景に描かれる、謎を湛えた物語の数々。巧みな伏線と登場人物の魅力に溢れたキュートなミステリ傑作集。

で、主人公の名は冬城圭介(フユキ ケイスケ)、ヒロインの名は穂村紗英、何気ない叙述や会話が謎の伏線になり、名前が入れ替わったり、人が入れ替わったり、部屋が入れ替わったりなどの謎が次から次へと現れる。読み終わってみれば、一語一句、一行たりとも油断できない「日常の謎」のオンパレードであった。
(2024年4月4日読了)



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