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読書日記
『弟よ』 読書日記337
2024年02月24日
テーマ:読書日記
野口卓『弟よ』集英社文庫
さらりと「おやこ相談屋雑記帳」とシリーズ名を変えての2冊目。「よろず相談屋」(5冊)、「めおと相談屋」(10冊)に続き、なんだか全体として「相談屋シリーズ」としたようだ。
裏表紙の内容紹介によると
信吾が営む将棋会所「駒形」、年末の将棋大会も3回目で恒例行事になりつつある。
今年の優勝者は? 天才少女ハツの順位は?
大会準備で慌ただしい師走のある日、実家の料理屋を継ぐ弟の正吾が、折り入って話があると言ってきた。
彼の店も忙しい時期に、時間をとって話したい、ということは!?
シリーズを通してもほぼ初めて正吾をじっくり描いた表題作ほか、今回も期待を裏切らない全4編。
ということで「名前代百両」「上には上が」「十二支騒動」「弟よ」の4篇である。このなかでは「十二誌騒動」が異色で、駒形のとある客人が見た夢を語る話…それは諸国の神々が集まって「十二支」の内容を入れ替えようという話し合いのドタバタ模様である。初めは動物を入れ替える話が次第にエスカレートしていく。
「名前代百両」は落語の「てれすこ」を取り扱ったもので、著者は時々落語を題材にして話を組み立てる。「上には上を」は玉藻という波乃(まだ19歳)の母親ぐらいの年上の女性が波乃に相談にくる話。相談も何もあがって雑談をしただけで問題は解決したと言って礼金を渡す。何が何だか判らない波乃は戸惑うが・・という話。
表題作の「弟よ」は裏表紙の紹介の通りである。信吾と波乃はその話とはタイミングなどから弟の結婚話であると推測して待ち受けるが、結局、正吾は何も肝心の話はせずに帰る。で、年が明けたら、正吾の話が発展して、一家全員が信吾と波乃にいたずらをしかける、という話。
このシリーズで弟の正吾は年が明けて20歳で波乃と同じ年齢、信吾が20歳で駒形を開いてから3年がたっているのであるからここでは24歳のはずであるが、それにしても設定が若すぎないかなと改めて思う。と言うか、初巻が2018年8月にでてから6年半・17冊もかけてまだ作中では3年余りしか経っていないことに驚いてしまう。
(2024年2月8日読了)
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