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読書日記
『三十年後の俺』 読書日記332
2024年02月13日
テーマ:読書日記
藤崎翔『三十年後の俺』光文社文庫
書店の店頭で見つけた本であり、購入して読み出したところ著者は元お笑い芸人であることが判った。とは言え、作者の経歴自体は内容の評価には無関係なはずだと思うけれど…
内容紹介によると
「三十年後のお前だ」――庭から侵入してきたおじさんはいきなり高校生の原川光に告げた。タイムマシンで未来からやってきたのだ、と。そう見れば、どことなく自分に似ている。これから起こることを次々明かしていくこの人物はいったい?(「三十年後の俺」)。ほか、イロモノ候補かと思われたサタン橋爪率いる「悪魔党」がみるみるうちに支持され、やがて世界を「悪魔運動」で席巻する「比例区は『悪魔』と書くのだ、人間ども」、心霊写真の信ぴょう性が薄れ、幽霊を怖がらなくなった現代人を再び恐怖させようと幽霊歴75年・柳田勇が悪戦苦闘する「心霊昨今」など。あの手この手で読み手の笑いを誘い、喜怒哀楽の渦に巻き込むシュールな短編&ショートショート全12編。元お笑い芸人の著者の素顔を明かす、書店員芸人カモシダせぶん氏の「解説」も必見!
【目次】
日本今ばなし 金の斧 銀の斧
ショートショート 貴様
一気にドーン
ショートショート マッチングサイト
伝説のピッチャー
ショートショート シンデレラ・アップデート
心霊昨今
ショートショート 未来の芸能界
比例区は「悪魔」と書くのだ、人間ども
ショートショート 宇宙人用官能小説
三十年後の俺
ショートショート AI作
で、上で解説されていない話について書くと、「日本今ばなし 金の斧 銀の斧」は池に斧を落とした(認知症の)老人に「今落としたのは金の斧か?銀の斧か?」と訪ねる(古い感覚のままの)神との間で起こるドタバタ。「一気にドーン」は数十年間若い時の外見を保ってきたタレントがある日起きたらその数十年分の老いが一気にドーンと来て・・。「伝説のピッチャー」は高校野球のスターとして名をはせたものの肘を壊して挫折した投手が編み出し、野球のルールまで変える変化球を生み出したいきさつ、といった具合でそれなりに話は面白いオチがつく。
ただ、具体例を挙げるのは難しいけれど、世の中には何回聞いても面白い話と1回聞けば十分ですぐ飽きられてしまう話とがある。著者には『神様のもう一つの顔』(刊行時『神様の裏の顔』に改題)というミステリーで作家デビューし、『逆転泥棒』(旧題は『あなたに会えて困った』)というような長篇作品があるようであるようだが・・この本も当初は『比例区は「悪魔」と書くのだ、人間ども』という題で出版され文庫化に当たって『三十年後の俺』と改題されていて、改題出版された本が何冊かあるのは気になることである。
結局のところ、お笑い芸人としてコントを数多く書いて来たという著者の経歴が色濃く反映していると感じた。
(2024年1月30日読了)
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