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『僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー』 <旧>読書日記1553 

2024年02月11日 ナビトモブログ記事
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ブレイディみかこ『僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー』新潮文庫

2019年に発売されベストセラーとなった本。文庫本となったのを契機に購入して読んだ。アイルランド人と結婚してイギリス・ブライトンに住む著者。この本をどう読むかはいろいろあるだろうが、厳然とした階級社会であり、ランク付けのはっきりしている国(*)とかつて「一億総中流」と言われた我が国(現在は財産と所得によって階級化が進んでいるようだ)の差はまだ大きい。amazonでの評価数が3000近いのにも驚くが、国情の差を自覚または知っているかどうかで本書への評価は大きく異なる様に思える。

そもそもイギリスで小学校5年で受けるイレブンプラスという制度のことを知っているだろうか?いや、今はこの制度は成績によって進学出来る学校(大学進学を目指すグラマスクールとテクニカルまたはモダンの一般校)が決まってしまうというものだった。今では、中学校にこれらの学校を統合した総合性学校を設置する地域が増えたため事実上廃止されているのであるが、イレブンプラス自体は残っていてグラマースクールや私立の中等部の入学選抜試験として使われている(但し、以前の様に全員が受験するのでは無く、日本での私立中学受験のように希望者だけが受験する)。

そうした中で著者の息子は地域No1の中学に進学も(ほぼ自動的に)出来るのに、敢えて自分の意志で自宅近所の低ランクの中学校への進学を選択する。なお、本書の内容については目次を上げるだけにする。

目次
はじめに
1 元底辺中学校への道
2 「glee/グリー」みたいな新学期
3 バッドでラップなクリスマス
4 スクール・ポリティクス
5 誰かの靴を履いてみること
6 プールサイドのあちら側とこちら側
7 ユニフォーム・ブギ
8 クールなのかジャパン
9 地雷だらけの多様性ワールド
10 母ちゃんの国にて
11 未来は君らの手の中
12 フォスター・チルドレンズ・ストーリー
13 いじめと皆勤賞のはざま
14 アイデンティティ熱のゆくえ
15 存在の耐えられない格差
16 ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとグリーン
解説 日野剛広(ときわ書房志津ステーションビル店勤務)

最後に『僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』が今年の9月16日に出版されるという。多分、文庫になったら買って読むだろう。

(*)ランク付け
本書冒頭のp.16に「学校ランキングが大手メディア(BBCや高級新聞各紙)のサイトで公開されている」とある。こうした厳格なランク付けがなされていることを知らない(読み落とす?)人も多い様だ。
(2021年8月13日読了)



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