読書日記

『晴れの日には』 <旧>読書日記1545 

2024年01月24日 ナビトモブログ記事
テーマ:<旧>読書日記


田牧大和『晴れの日には』文藝春秋(図書館)

藍千堂菓子噺シリーズの2冊目であるが、読書日記525で書いた様に3冊目の『あなたのためなら』を先に読んでしまったので、これを読むのは抜けている部分を補う意味もある。本作は五節句にちなんだ副題を持つ五編の短篇を重ねる。

「羊羹比べ −人日」茂助の古くからの知り合いである足袋職人の九助は息子の寛太が死んだことを認められない。その九助を判定人として茂助と清太郎が味比べを行う。
「母と似た女(ヒト) −端午」父の代からの贔屓客である松沢家の端午の節句の柏餅作りを清太郎は松沢家にて手伝い、菓子作りの指揮を取る。そうした中で当主の嫁である雪は佐菜とさちという親子連れを案じている。なにやら訳ありらしい。
「青の星川 −七夕」藍千堂にも良く顔を出す南町定廻同心の岡丈五郎は上役の年番方与力鎧坂竜之介と折り合いが悪いらしい。おりしも、有力商店の息子が起こした刃傷沙汰に関して、岡は鎧坂に出仕停止を申しつけられる。藍千堂は販売していない「金平糖」を手土産にして岡は奉行に直接実情を訴えて難を逃れる。
「思い出話 −重陽」松沢家からも、同心の岡からも鎧坂との関係から佐菜と幸の親子に近づいてはいけないと言われた清太郎は一度は納得するものの佐菜たちをなんとかしたいと望む。それに関して藍千堂の後ろ盾とも言える伊勢屋総左衛門(晴之助)と清太郎・幸二郎の父清右衛門と母おしのとの出会いを総左衛門は思い出話として語る。
「ひいなの祝い −上巳」ついに来たるべき日が来た。年番方与力鎧坂竜之介は藍千堂に現れ、生き別れだった娘が見つかったのでと祝い菓子を注文する。それはもちろん藍千堂も支配下に置くという宣言でもあった。しかし、さちをとりあげた久利庵(元御殿医唐雪)、同心の岡、に幸二郎と伊勢屋の協力があり、最後に鎧坂地震の二人の息子の訴えにより、鎧坂はお役御免となる。
障害は消えて佐菜と清太郎は晴れて夫婦となれることに。

図書館から借りて読むまでは、未読であることに半信半疑であったが、なるほど、これだけの話を読んでいないのだから『あなたのためなら』での人間関係が判らないはずだと納得した。
(2021年7月30日読了)



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