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読書日記
『夢見る宝石』 読書日記322
2024年01月20日
テーマ:読書日記
シオドア・スタージョン『夢見る宝石』ちくま文庫
とある週刊誌の紹介でちくま文庫で再刊されたことを知って購入した。著者の作品では『人間以上』が有名であるが余りにも昔に読んだので内容は覚えていない。
内容紹介では
家出少年のホーティがもぐりこんだのは、普通でない人間たちが集うカーニヴァル。団長のモネートルには奇妙な趣味があった。宇宙から来た不思議な水晶の蒐集と研究だ。水晶たちが夢をみるとき、人や動物や植物が生まれる―モネートルはそれを利用して、己の野望を果たそうとしていたのだ。そのことを知ったホーティやカーニヴァルの団員は、恐ろしい運命の渦に巻きこまれていく。幻想SFの巨匠がつむぎだす珠玉の名品。
また、旧版訳者の永井淳氏は粗筋を以下の様に書かれているそうだ。
「宇宙のどこからかこの地球にやってきて地中に埋もれている水晶のような形をした生き物がおり、それが何かモデルにして夢をみるとき、人間の姿をした水晶人(クリスタライン)が生まれる、夢の産物は超能力をそなえた完全な人間の形をとることもあれば、不完全な夢が小人や異常者や人間とも動物ともつかない奇形を生むこともある、この水晶に意志を伝達して地球上に害毒を撒き散らそうする邪悪な意思と、本物の人間以上に人間的な水晶人(クリスタライン)との戦いを太糸として展開する」
この本は著者の最初の長篇であり原作が書かれたのは1950年である。今から70年以上前に書かれたものであり、宇宙船やロボットは出て来ない。と言うより、当時の科学技術の水準では人工衛星もまだ打ち上げられていないし、コンピューターは重さが30トンもあってビルの広大な面積を占めていて、まだ理論的な存在に近かった。そんな時代に書かれたものであるが、いや、それ故にと言うべきか、その基本的なアイデアは光っているし内容も豊かである。
現代なら確かにSFの範疇に入るだろうけれど、この作品が生まれた当時では「幻想的なホラー小説」とでも言うべきものだったかもしれない。当時のアメリカの様子を背景にして、1つ1つの概念を積み重ねて世界観を展開していくので、それを理解するまでは難渋するかもしれない。
(2024年1月6日読了)
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