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読書日記
『二律背反』 読書日記321
2024年01月18日
テーマ:読書日記
本城雅人『二律背反』祥伝社(図書館)
週刊誌の書評により、図書館に予約していたものが昨年末に順番が回ってきた。だからこちらを先に読み出したのであるが、結果的には読了が遅くなってしまった・・
内容紹介によると
「おれにとってはおまえが正義だ」
独自のコーチ哲学を貫くプロ野球の投手コーチ二見が
球界の闇、盟友の無念に迫るミステリー!
13年前に球界を追放された先輩が不審死を遂げた。
なぜ今になってこの世を去らねばならなかったのか――
20年ぶりのリーグ優勝を目前にするプロ野球・横濱セイバーズ。その快進撃の立役者である投手コーチ二見里志は、抑えの新田隆之介らの疲労管理に頭を悩ませ、リリーフ陣を酷使したがる辻原監督と衝突が絶えない。そんな里志のもとに、突然の訃報が届く。里志の現役時代の恩人であり、ある罪≠フ発覚以来、球界を追放されていた盟友・檀野晋が亡くなったという。当初、自殺と思われていた事件は殺人と発表され……。
「檀さん。これでも俺は、正義の男だと言えるのか――」
上にも書いたように、この本を先に読み出したのであるが、あくじゃれ瓢六シリーズにも興味がある、ということで年末年始の図書館の休館もあり、借出期間が普通は2週間であるものが実質3週間となったこともあってそちらを一気に4冊借り出した。目論見としてはこれを読み終えてから、瓢六を読むつもりであったが・・本書は400ページを越える重量本であって一気には読めなかった。
さて、本書の主人公である二見里志は13年前に米大リーグに挑戦したが、大活躍とはいかず数年で日本に戻ってきた男である。ただ、大リーグでの投手を大事に扱うやり方を見て、日本にもそれを根付かせようと努力し、横濱セイバーズの投手コーチとして拾われたことを契機にして投手陣の再起と育成をはかり、半ば成功して今シーズンを戦っている。
シーズンも終盤になり、優勝の可能性が強くなって来た時に13年前に球界を去った檀野晋が電話をかけてきた。ただ、二見里志は電話がかかってきたことを知らず電話に出ない。その後に檀野晋は死ぬのであるが、普段は(試合前後の取材によって)スポーツ紙の記者とのみ話す二見里志は全国紙の事件記者から檀野晋の死を告げられ、最後に何を話したのかと聞かれて始めて電話があったことを知る。で、野球と檀野晋の死の真相を巡る二重の話となっていく。
千葉ロッテマリーンズの吉井監督に協力して頂いて書いた作品だからなのか、データに基づいた野球思想をしている二見の姿は研究熱心な吉井監督に重なるような印象。かつ、野球というスポーツの内幕に迫る感じがしてそちらは興味深かったが、ミステリー側がいまいち感。特に結末が暴力的でもあり、衝撃的ではあったけれど画竜点睛を欠く作品だと思った。
(2024年1月2日読了)
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