読書日記

『再会』 読書日記320 

2024年01月16日 ナビトモブログ記事
テーマ:読書日記


諸田玲子『再会』文藝春秋(図書館)

あくじゃれ瓢六シリーズの4冊目。昨年末にまとめて4冊借り出したうちの3冊目で、今年最初の読了本となる。実際の出版時期を見ると100円第3巻の『べっぴん』の出版が2011/11/10であり、本巻が2013/07/10なので2年弱の隔たりがある。けれども、本作では前作から数年(あるいは10年近くか)経っているのである。

内容紹介によれば
中年になった色男・瓢六の人気シリーズ再開!!

恋女房・お袖を失い、無気力な暮らしを送る瓢六が、謎の武家女性・お奈緒に惹かれ、水野忠邦と鳥居耀蔵が絡む陰謀に巻き込まれる。
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時は幕末、老中・水野越前守忠邦が“天保の改革”に乗り出し、戯作者、洋学者、不良御家人への締め付けが厳しくなってくる。衝撃的な災難に遭っていらい自堕落な生活を送っていた瓢六のもとに、昔の相棒・堅物同心の篠崎弥左衛門がたずねてくる。青春時代は過ぎ去り、老いに足をかけた男達の決死の闘いが始まった―。

えっ、ええー、である。初登場の時に28歳であった瓢六はいまや40歳を目前の中年(江戸時代的に言えば老年にさしかかっているということになるけれど…)で、数年前の火事で相思相愛であったお袖は行方不明となり、それ以来、瓢六は無気力に生きていて旧来の知り合いとは縁を絶っている。そこになぜか篠崎弥左衛門が訪ねて来て・・本巻は瓢六のルネサンスの物語である。

と言うか、前巻末で弥左衛門は長年の願いがかなって八重と結婚できたのであるが、同時に瓢六は恩人を殺され、作者の贅沢なキャラクター消費に驚いたものであるが、それは続巻が出ていることを知っている読者としての立場から見たもので、著者は前巻で一応の終わりを迎えたつもりであったかとも思われる。

ということで、話は水野越前守と南町奉行の横暴に抗う物語に変化するという大胆な転換。その上に謎の女性お奈緒が現れ主要な人物となっていく。
そのことから、いまだにお袖を慕う瓢六はお奈緒との相剋に悩むようになる。ちなみに私は題名の『再会』とは瓢六とお袖との再会を意味するものと思って読んでいたのであるが、そうではなく瓢六と弥左衛門との再会の意味であった。
(2024年1月2日読了)



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