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読書日記
『なみだ』 <旧>読書日記1541
2024年01月15日
テーマ:<旧>読書日記
細谷正充・編『なみだ』朝日文庫
朝日文庫の時代小説アンソロジーの中の1冊で
青山 文平 『つゆかせぎ』 宇江佐 真理 『松葉緑』 西條 奈加『カスドース』 澤田 瞳子『「なるみ屋」の客』 中島 要『目が覚めて』 野口 卓『皿屋敷の真実』 山本 一力『菖蒲湯』
の7編を収める。
すべての短篇が未読であった訳では無く冒頭の3作が既読であり、それだけでほぼ半分の陵を占めている。
アンソロジーは同一作家の作品選である(普通はオムニバスと呼ぶ)こともあるが多くはことなる作者による作品を(多くはテーマを決めて)集めたもので日本では古くから「和歌集」という形で編まれ読まれてきているものであり、編者の視点と力量が問われる。
私はたいていの場合、一定の質が選者によって保証されていることから、新しい作者を知るための入り口として読むことが多い。文芸誌などを購読していればやはりそれは入り口になり得るのであるが私は文芸誌を読んではいない。実はこの本で言えばそうした新しい作家は澤田瞳子と中島要の二人がそれに当たるし、野口卓と山本一力についても読んでいない本からの抜粋であって新しい視点が得られる場合も多いと思っている。
最後に、編者の細谷正充は文芸評論家。歴史時代小説、ミステリーなどのエンターテインメント作品を中心に、書評、解説を数多く執筆している。そして、一般社団法人文人墨客(岩田健太郎理事)とともに個人名の「細谷正充賞」という文学賞を主宰している。
(2021年7月15日読了)
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