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読書日記
『不見の月(ミズ ノ ツキ) 博物館惑星U』 <旧>読書日記1535
2023年12月30日
テーマ:<旧>読書日記
菅浩江『不見の月(ミズ ノ ツキ) 博物館惑星U』早川書房(図書館)
2019年4月に刊行された博物館惑星シリーズの18年ぶりの続編。〈アフロディーテ〉は地球の衛星軌道上に浮かぶ巨大博物館苑で、そこでは、データベースに直接接続した学芸員たちが美の追究に勤しむ。本巻と続巻では赴任したばかりの新人警備員・兵藤健は、いわくつきの芸術品、問題を抱えたアーティストらにまつわる事件に対処していく。
本篇の中で3篇目の「手回しオルガン」から名前だけ登場し、徐々に明らかになっていく謎の叔父さんあるジョー(丈二)という人。美術界のグレーゾーンにいて現在はどうやら世界的な組織窃盗団の一員らしいが、健が小さいときから、不意に健の前に現れてはさまざまな小物をくれる優しい叔父だった。しかし、それを警察官である父に見つかると窃盗品だと言われで没収されてしまう・・そんな叔父との接点があるかも知れないと警備員になったのであった。
黒い四角:出藍の誉れをうながす師と師を敬愛する弟子との師弟愛。弟子の売名を図るプロデューサー。
お開きはまだ:盲目のミュージカル評論家と彼女に酷評された縁者の妹との相剋。評論家が長年の懊悩から解き放たれ、かつての仇敵といつまでも踊り続けるHappy end。
手回しオルガン:手回しオルガン奏者のエミリオ爺さんはアフロディーテの名物。その年代物のオルガンの由来と保護を巡っての話。これには健の叔父のジョーが絡む
オパールと詐欺師:愛犬の歯をオパール化して欲しいとアフロディーテに依頼してきた宝石採掘かとその相棒の元(?)詐欺師の友情物語
白鳥広場にて:観客が何を追加表現しても自由という作品に危機が迫る。作者の意図は絶対なのか?
不見の月(ミズノ ツキ):父が遺した月の絵に追加で付けられた腕。腕に隠された家族に対する父の不器用な想い。
この巻では叔父のジョーについてが解決していないが続巻が出る予定で、それが第3巻の『歓喜の歌』である。
(2021年7月7日読了)
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