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読書日記
『もゆる椿』 読書日記313
2023年12月31日
テーマ:読書日記
天羽恵(アマウ メグミ)『もゆる椿』徳間書店(図書館)
amazonなどの内容紹介では
第6回大藪春彦新人賞を受賞した天羽恵、凄烈なるデビューへ!
御役目は必殺!?
刺客となった少女と人斬れぬ御供の武士。
死への旅路の果てにあったのは......。
仇討ちに謀略。なんと贅沢なエンターテインメントだろう。
――今野敏
自らの生を賭して足掻くことは、かくも切なく美しい。
――澤田瞳子
「無念を晴らす為やったら、鬼にでも夜叉にでも、喜んでなったる」
道場剣一筋の真木誠二郎は、裏目付の佐野に見込まれてある御役目を言い渡される。
尊王攘夷派の黒幕を誅殺すべく、江戸から京まで刺客の供をせよというのだ。
鬼のような刺客と聞いて生来の臆病者である誠二郎は怯えるが、現れたのは年端もいかない少女・美津だった――。
時代小説に新風を起こす業火の仇討ち旅が始まる!
というものである。この本は他にも多くの書評で取り上げられているが、その意表をつく設定と1958年生まれの著者のデビュー作であることに触れられている。そして、デビュー作であるけれども極端な破綻は無く、そして意外なことにハッピーエンドでもあるこの小説は一気に読めるものである。
刺客の的となるのは刺客にとって親の敵でもあると言う。わずか8歳で暗殺者集団「里の者」となったお美津は父親を京都で殺されている。そのお美津を江戸から京都まで連れて行くのが20歳の真木誠二郎ということになる。一見すれば武士が妹を連れての旅行であるが、この道中で誠二郎は12歳のお美津に剣を習うという筋書き。やがて、京都に着いた2人は別れさせられ、お美津は1人で仇討ちの場に出かけて絶対の危機に陥ることになるが…
この話の設定を活かしての続編は難しいと思うが、続編で無くとも著者の次の作品を期待してしまう。
(2023年12月16日読了)
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