読書日記

『ポトスライムの舟』 読書日記310  

2023年12月25日 ナビトモブログ記事
テーマ:読書日記


津村紀久子『ポトスライムの舟』講談社文庫

この著者の作品には人間関係が元で会社を辞めた、という話が良く出てくる。これ以前に読んだ『この世にたやすい仕事はない』でも主人公が次々と職を変える原因の1つでもあるし・・さて、この本は「ポトスライムの舟」と「十二月の窓辺」の2篇が収められ、前者で著者は芥川賞を獲得した。
後者は会社を辞める話であり、巻末の解説によれば「ポトスライムの舟」の前日譚として位置づけられるそうだ。

裏表紙の内容案内だと、
29歳、工場勤務のナガセは、食い扶持のためにも「時間を金で売る」空しさをやり過ごす日々。ある日、自分の年収と世界一周旅行の費用が同じ一六三万円で、一年分の勤務時間を「世界一周という行為にも換金できる」と気づくが−−。
ユーモラスで抑制された文章が旨に迫り、働くことを肯定したくなる芥川賞受賞作。

ということになってほぼ「ポトスライムの舟」だけの案内である。で、wikipediaの著者の略歴によると、著者は「2000年、新卒で入社した会社で上司からパワーハラスメントを受け、10か月で退社」とある。作家としてデビューし、いくつかの作品を書く内に著者のこのトラウマ的経験は次第に浄化されていったのではないかと思う(私はほぼ最新作の『水車小屋のネネ』から遡って読んでいる、と言っても単行本では無く新聞連載小説としてである)。
(2023年12月14日読了)



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