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読書日記
『道連れ彦輔 居直り道中』 <旧>読書日記1532
2023年12月24日
テーマ:<旧>読書日記
逢坂剛『道連れ彦輔 居直り道中』毎日新聞出版(図書館)
本作は毎日新聞の日曜版である「日曜くらぶ」に2018年4月1日〜2019年12月31日の間連載されたもので、今年の3月30日に出版された。前作の出版が2006年なので15年ぶりの続編ということになる。と言うか、前作での設定を借りただけの別物とも言える。
今回の依頼内容は京に上って行儀見習いをするという某家の娘の道連れとなって無事に京まで送り届けることであるが、依頼主から「こたびの道中は物見遊山、というわけにはまいらぬでござろう。いつ、どこでそこもとらに、思わぬ危険が及ぶか、予測はつき申さぬ」と言われたのであるから、思ったよりもめんどうな旅になることはわかりきっている。
幕開けに目黒新富士で地下の体内巡りに藤八、かなめと共に閉じ込められた彦輔が知恵を絞ってそこから抜け出すという一幕があって、彼らを閉じ込めた武士から依頼を受ける。
依頼内容は京に上って行儀見習いをするという某家の娘の道連れとなって無事に京まで送り届けることであるが、依頼主から「こたびの道中は物見遊山、というわけにはまいらぬでござろう。いつ、どこでそこもとらに、思わぬ危険が及ぶか、予測はつき申さぬ」と言われたのであるから、思ったよりもめんどうな旅になることはわかりきっている。
主要登場人物はまず主人公の鹿角彦輔、彦輔の子分格の藤八、女性の勧進かなめ。それに彦輔が道連れとして従う美少女菊野とその世話役の大年増のりく。途中から、渡り者の博徒である鬼吉と蛇の目の二人が道中に巻き込まれ、さらに、前作の敵役を務めた浪人富永隼人が助っ人として現れ、この仕事の仲介者である小人目付神宮迅一郎までもが旅先で現れる。
また、本作の敵役は丸井角兵衛と中山道之助(いずれも偽名らしい)という二人の武士。道中に出てくるその他大勢である。
しかし、藤八やかなめと彦輔の繋がりなど、また浪人の富永隼人についても初めて読む読者に対しての説明は無く・・この点については、説明として同じことをクドクドとくり返す作品とどちらが良いのか判りかねるが、前編を読んでいても間が空いて忘れているだろう読者に対して少々不親切でもある。
さて、お話しは中山道の道中記でもあり、宿場の名前やその様子、江戸期の旅の実際を細々とした事件らしきものを交えて描いていく。割とダラダラと旅は続くのであるが、身分不明のお姫様を京都までわざわざ中山道を通って送り届けるのか、という疑問など最後の20ページほどで謎解きと言うかこの旅の裏事情などが一気に説明されのであるが、大方の読者は釈然としないままに本を閉じることになりそうだ。
連載開始時にははっきりとした構想があったのかという疑問が湧くし、どれだけの分量になるのかも決まっていなかった様にも思えた。
[旅程]
前泊:市谷長源寺
初日:板橋宿〜戸田の渡し〜蕨宿〜浦和宿〜大宮宿〜上尾宿〜桶川宿(泊)
2日:鴻巣宿〜熊谷宿(泊)
3日目(4/5):深谷宿〜倉賀野宿(泊)
4日目:高崎宿〜板鼻宿〜安中宿〜松井田宿(泊)
5日目(4/7):妙義道〜下仁田街道〜本宿〜初鳥屋宿(泊)かなめ、藤八
碓氷関所〜坂本宿〜碓氷峠〜軽井沢宿(泊)彦輔、菊野、りく
6日目:借宿で合流、塩名田宿〜芦田宿〜長窪宿〜和田峠〜下諏訪宿(泊)
7日目:伊奈街道〜伊奈宿(泊)夜、山賊集団襲来
8日目:かなめが山賊に誘拐される〜奪還。
9日目(4/12):飯島宿〜飯田宿(泊)
10日目(4/13):菊野、誘拐される。2日後に彦輔のみが馬籠峠に来いという呼び出し。
11日目(4/14):妻籠宿(泊)彦輔
12日目(4/15):馬籠峠〜馬込宿、大団円。任務完了
13日目:京を経て長崎への再びの旅立ち
(2021年7月2日読了)
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