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読書日記
『財布は踊る』 読書日記305
2023年12月15日
テーマ:読書日記
原田ひ香『財布は踊る』新潮社(図書館)
今年の8月半ばに図書館に予約し、11月末にようやく借り出して読んだもの。出版は2022年7月27日であるからそこから数えると読むまでに16ヶ月かかっている。
内容紹介によると
60万部超え大ヒット作『三千円の使いかた』の著者、最新刊は「お金のつくりかた」! 会社の同僚と平凡な結婚をし、ひとり息子にも恵まれ、専業主婦として穏やかに暮らす葉月みづほ。彼女はある夢を実現するために、生活費を切り詰め、人知れず毎月二万円を貯金していた。二年以上の努力が実り、夢を実現した喜びも束の間、夫に二百万円以上の借金があることが発覚して――。様々な事情で「今より少し、お金がほしい」人達の、切実な想いと未来への希望を描く!
全体は六話になっており、上の内容紹介はほぼ第一話「財布は疑う」のものであった。
さて、昔、サラ金というものがあり高利を取ったがなかでも悪辣なのは利子分だけ返せば元金の返済を待ってくれるという貸し方であった。つまり、貸す側すれば毎月決まった額を(元金を返すまで)永久に受け取れるという仕組みである。これは利率も相まって世間から批判を浴び規制されてサラ金が衰退する原因になった。
けれども、この仕組みを現代風にアレンジしたものがクレジットカードの「リボルビング返済(略称リボ払い)」である。これは毎月の返済額を(あらかじめ定めた)一定額にするもので、新たにクレジットで何か購入しても返済額は代わらず一定で返済完了までの期間が延びる。つまり、返し切れていない(返済していない分)は借金として次第に貯まっていく仕組みの返済法である。
で、葉月みづほの夫はそのリボ払いの罠にはまっていることに気づかず、毎月3万円の返済で済んだものと思っているために未払いの金額が積もっていっての結果である。私に言わせると「なんという無知」なのであるが、まあ、お話だから仕方無いとも思う。
残りの5話について簡単に書くと
第二話 財布は騙る
水野文夫はメルカリでヴィトンの財布を買う。善財夏実のセミナーを聞き、FXの情報商材を売る商売に手を出す、初めてそれが売れた時、同郷の友人野田祐一郎に財布ごと盗まれる。結果、文夫は成田という初老のエアコン取り付け業者の見習いとなる。
第三話 財布は盗む
財布を盗んだ野田は株式投資に手を出し、45万円の元手を一時は4千万まで増やしたが相場詐欺にひっかかりすべてを失う。//みづほは鉄道忘れ物市で自分の売った財布を見つけるが、買えない。そんなみづきは知り合いから古家が210万円で買える事を聞き、購入を考え始める。
第四話 財布は悩む
善財夏実こと蛇川茉美はコラムを掲載している小雑誌の編集長から原稿の内容について忠告される。//みづきはなんとかローンを借りて家を買い、まもなくローンを終えることができる。
第五話 財布は学ぶ
平原麻衣子は学生の時に借りたローンの返済に苦しみ、同じ境遇にある斉田彩と共に借金の返済法を教えるという話に乗ろうとするが、それは身体を金に換えるという話だった。それを断って二人で話をしていると、たまたまそれを聞きつけた善財夏実にインタビューを受け、返済法を教えて貰って実行することにする。二人は安い一軒家を借り(費用は善財から借りる)、共同生活をして生活費を減らし放送大学に入って奨学金の返済に猶予期間をもらって生活を始める。
第六話 財布は踊る
善財はそれとはべつにみづほを対象(女性大家)としてインタビューを行い、みづほの貸家で起こった事件の詳細を聞き取る。その後平原麻衣子と会って以前に出した引っ越し費用を返して貰う。一方の彩は途中で逃げ出したが、結婚して今は3人の子持ち+妊娠中。みづほはエアコン業者の水野と知り合っていて今度4人目がてきるという話を聞く。
となっていて、まあ登場人物の大方にとってはハッピーエンドであった。
(2023年12月02日読了)
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