読書日記

『流葉断の太刀』 <旧>読書日記1588 

2024年05月08日 ナビトモブログ記事
テーマ:<旧>読書日記


上田秀人『流葉断の太刀』徳間文庫
裏用心棒譚の2冊目なんだが、釈然としない。というのは1冊目が『茜の茶碗』ということになっているが、この本は2017年に発売されたもので私は2019年1月に読んでいる。
(新読書日記130 https://www.ikoi-cafe.com/?m=pc&a=page_fh_diary&target_c_...

そしてその時にも確かに裏用心棒譚という副題はあったのであるが、2冊目のこの本が出たのは2019年の9月で1年以上間が空いている・・つまり、本来はシリーズとして出すつもりでは無かった本を無理矢理シリーズ化したのではないかという疑念がある。

内容紹介に寄ると
田沼意次が盗賊たちに下した密命は驚くべきものだった。

徳川家を祟るとして東照宮に秘蔵されていた「流葉断の太刀」を、松平定信が秘密裏に
持ち出した形跡がある。それを奪還せよというのだ。

五百両の報酬を条件に依頼を受けた盗賊たちだったが、権力者二人の政争にいつしか巻き込まれていく……。

というのであるが舞台が広がったのかそれともいつもの田沼意次vs松平定信の争いに矮小化したのか、どちらとも言えないほどに話が杜撰。主人公の小宮山一之臣にしろ、盗賊たちから「盗賊としての覚悟」を持てと迫られ、自分は用心棒であって盗賊では無いという気持ちの上での最後の一線を超えざるを得ない。

今回の任務には成功するが結局のところ田沼意次に使われる盗賊集団となった一同に未来はあるのだろうか、と思わせて話は終わる。と言うより、文庫書き下ろしではなく単行本から文庫となる形である本シリーズに果たして第3巻は出るのであろうか。
(2021年10月22日読了)



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