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『女王陛下の航宙艦』 <旧>読書日記1504 

2023年10月27日 ナビトモブログ記事
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クリストファー・ナトール『女王陛下の航宙艦』ハヤカワ文庫

いつもと違う道を散歩中にふと立ち寄ったブックオフで税込み110円という値札がついていたために買った本。

内容紹介に寄れば、今ではほぼ現役を退き、問題を起こした士官の配属先になっていたイギリス航空軍初の戦闘航空母艦“アーク・ロイヤル”に緊急出撃命令がくだった。辺境星域の植民惑星が謎の異星人戦闘艦の攻撃を受け、壊滅したというのだ。迎撃に向かった最新鋭の戦闘艦艦隊も、恐るべき敵の火力により殲滅された。「サー」の称号を持つ70歳の老艦長は、持ち前の知略を駆使し、建造後70年の老朽艦と共に強大な異星人艦隊に敢然と立ち向かう!

と言う話であるが、主役の艦長セオドア・スミスは飲んだくれ。以前は功績があったようだが酒の飲み過ぎ?で旧式な予備役艦の館長となっている。そこへコネを持つ若手のフィッツジェラルドが艦長となるという通告。これに対して、旧式な装備の上に新しい兵器などを載せたちぐはぐなシステムの航宙艦であるアーク・ロイヤルは新しい形式の船に慣れた乗員ではうまく操れない、と言う弁論で艦長の座を守りフィッツジェラルドは副長になる。

冒頭で最新鋭艦隊が敵と遭遇して(詳細不明だが)撃破され、老朽艦のアーク・ロイヤルが出撃するのは装甲が厚いから・・新鋭艦は防御力が弱いらしい。

なんと言うか、部分部分は面白いのであるが、全体として話はアーク・ロイヤルと同じで新旧の詰め合わせセット。宇宙艦隊ものの多くは海洋冒険小説の船を宇宙船に置き換えただけの話となりやすいがこの話も同じ。時代設定はアークロイヤルが建造されてから70年後というばかりで近未来のいつか。それなのに現在と同じようにアメリカ、ヨーロッパ、中国、日本、その他にいくつかの弱小国がそれぞれ宇宙艦隊を保持していてそれぞれ独立行動している。敵も異星人と言うばかりで詳細は不明(きっと作者は考えるのが面倒だったに違いない)

翻訳題名も異常で、国王陛下の統治下である(本文中にそう出ている)はずが「女王陛下」とはこれ如何に?2013年にイギリスで出版され翻訳は2017年出版。どうやら長いシリーズで日本では2018年までに3巻が出ているが、そこで行き止まりのような感じである。まあ、この本の続巻を定価の1140円+税で買う気はない。

関係無いけれど、SF史上、武器の威力の最大の物は半径2光年の内部をすべて破壊するものであった様な気がする。もし、こんな兵器を持つ異星人と戦うことになったら装甲の厚さなんて関係無いよなぁと思うと同時に1950〜60年代SFの発想スケールの大きさに改めて驚いてしまう。
(2021年5月1日読了)



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