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『大河ドラマの黄金時代』 <旧>読書日記1500 

2023年10月19日 ナビトモブログ記事
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春日太一『大河ドラマの黄金時代』NHK出版新書

内容紹介によると
『花の生涯』『黄金日々』『独眼竜政宗』……その舞台裏にも熱いドラマがあった!

大河ドラマ第1作『花の生涯』から『太平記』まで。草創期からドラマづくりに携わってきたプロデューサー、ディレクターらドラマ部OBたちの貴重な証言の数々を織り込んだ、迫真のドキュメント。1963年から91年までの28年間、制作現場では、泥臭くも熱い物語の集積があった。現場での意気込み、思わぬ障害、撮影上の工夫、スターたちの知られざるエピソード……大河とあわせて金曜時代劇などNHK大型時代劇も取り上げ、両者の熱気があいまって「黄金時代」が作られたことを明らかにする。

ということになるが、いわゆる大河ドラマは1963年の『花の生涯』に始まり現在まで60年近く続いている。私は年齢からすれば『花の生涯』も観られたはずであるが、クライマックスころの「討ち入り」ぐらいしか記憶に無い。ある意味、ちゃんと見だしたのは3年目の『太閤記』からである。だが、日曜日の夜に家に居れば見るという程度で熱心な視聴者では無かったと思う。

そして、放送されていた当時、ビデオテープは存在していたものの、初期はもちろん1970年代の作品はNHKにも保存されていない。理由は当時はビデオテープの値段が高く(なんでも初期にはテープ1本が軽自動車1台分ほどの価格であったと言う)、同じテープを何回も使い回ししていたというのが理由である。

著者は1977年生まれであり、その年齢からも取り上げている作品のほとんどは見たことが無いはずで、それが、本書がプロデューサー、ディレクターの証言の集成に留まっている理由であろう。と言うか、誰も再び見ることの出来ない映像に関して、評論や分析は出来ないであろう。記憶に頼っての感想はまだ可能であろうが、それも著者の年齢では無理である。

それならば本書に資料的な価値があるかと言えば、主要なキャストすら掲載されているとは限らず、脚本家も同様に記載されているとは限らず、撮影技術の進歩や、映像作りの苦労話など面白い部分もあるが、中途半端感もある。

また、取り上げているのは1991年までで著者はその理由として、92年度からは制作がNHKエンタプライズに移行されたことをあげている。それ自体は著作権管理を始め、映像の二次使用なども考慮しての制作社変化であろうけれど、それまでを「黄金時代」という言葉でまとめるのはやや無理があるようにも思える。

最後に目次を上げておく。
1:大河ドラマの誕生──『花の生涯』『赤穂浪士』
2:試行錯誤──『太閤記』~『竜馬がゆく』
3:制作体制の確立──『天と地と』『樅ノ木は残った』 ~『国盗り物語』
4:金曜時代劇の冒険──『文五捕物絵図』『鞍馬天狗』~『壬生の恋歌』
5:新しい歴史ドラマ──『勝海舟』『元禄太平記』『黄金の日日』~『徳川家康』
6:ふたつの三部作──『山河燃ゆ』~『真田太平記』
7:復活と飛躍──『独眼竜政宗』~『太平記』
(2021年4月23日読了)



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