読書日記

『脱藩さむらい』 <旧>読書日記1427 

2023年08月24日 ナビトモブログ記事
テーマ:<旧>読書日記


金子成人『脱藩さむらい』小学館文庫
新しい作家をと思ってこの本と坂岡真『月:死ぬがよく候』とを買い、どちらから読むかと迷ってこちらにする。初めは少々読みにくかったが、文体などには慣れるものだ。

主人公の香坂又十郎は、石見国、浜岡藩城下に妻の万寿栄と暮らしている。役目は奉行所の町廻り同心頭。剣の腕もあり真面目な男らしいが、どういう訳で脱藩するのか?というのが疑問。

又十郎はある日海釣りに出かけて、脇腹に切り傷のある水主(カコ)の死体を見つけるが大目付の手のものによって死体は引き取られ、又十郎は手を出さないように釘を刺されるが義弟の兵藤数馬は殺された水主は講義の隠密ではなかったかという疑念を持ち、闇討ちに遭う。

後日、城内に呼ばれた又十郎は、謀反を企んで出奔した藩士を討ち取るよう命じられる。追うべき藩士の名は、兵藤数馬であり、追悼をしくじれば罪は縁戚に及ぶといわれ、やむなく孤独な追跡行がはじまり、義弟を追って江戸に向かう。ついた江戸では蝋燭屋「東華堂」の世話になるように言われており、東華堂の手で長屋なども決まり、江戸では藩屋敷の目付である嶋尾久作の指図を受けることになる。

嶋尾は人当たりは柔らかいが「人を斬ってくれ」と無理難題を押しつけ、故郷の妻や実家を人質に取られた様な立場となり、已むを得ず嶋尾の命令を聞いているうちに、いつの間にか又十郎は脱藩したことになっていることを教えられる。巻末近くではついに義弟と対決して倒すのであるが、これでお役御免となって帰国する訳にはいかなくなる。

ちょっと設定に無理があるのだが、全体の結末はどうなるのであろうか、という興味もあり、全4巻のシリーズを読むことにした。
(2021年2月15日読了)



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