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読書日記
『国家の怠慢』 <旧>読書日記1413
2023年07月27日
テーマ:<旧>読書日記
高橋洋一・原英史『国家の怠慢』新潮新書
この本の裏表紙に載っている著者2人の経歴をまず書く。高橋洋一(1955年生まれ):80年大蔵省入省、2008年退官。小泉内閣・第1次安倍内閣では官邸勤務で様々な改革を手掛ける。
原英史(1966年生まれ):経済産業省などを経て2009年「(株)政策工房」設立。著書に『岩盤規制 誰が成長を阻むのか』(新潮新書)など。
ということで、この本は国家公務員(役人)時代に規制改革に携わり、現在は民間人となった2人の官僚制度批判の対談で次の様な構成である。
はじめに(高橋洋一による)
第1章 コロナで見えた統治システムの弱点
第2章 間に合っていたはずの規制改革
第3章 なぜ役人は行革を嫌がるのか
第4章 モリカケ問題と前川さん、佐川さん
第5章 毎日新聞の「スクープ」で考える報道と国会
第6章 マスコミ報道に未来はあるのか
第7章 産業が丸ごとなくなる時代に
おわりに(原英史による)
「はじめに」で高橋洋一は東大数学科の出身であることが明かされ、「(大蔵省に)間違って入ってしまった」と書き、試験問題は難しいものから解くと言う。これに対して、(役人は)難しい問題を早く識別し、それを避けてやさしいものから解答し、後で時間が余れば難しい問題に取りかかる。多くの大蔵官僚は要領がいいから、難しい問題を避け、簡単なものを処理しそれを難しい問題と言って評価を受ける、という人が多かった(*)。
この文を読み、内容に期待したのだが、第3章まではともかく、第4章以降はなんだかズレているぞと感じた。と言うのは著者の一人の原英司が毎日新聞によって「疑惑」を報じられたということについてのものであるから。もちろん、著者たちのおっしゃるとおり記事の書き方に問題があることも判るが、内容的には私怨を晴らしているだけに過ぎないと思う。
第3章までは、コロナ禍については「有事(非常時)なのに平時の対応を続けようとしている」という指摘は当たっていると思うし、関連して我が国には「有事の指導者」が出にくいとも私は考えている。また、改革がしにくい理由の一つとして役所は既得権の側に付くという指摘もあたっているだろうと思う。結局のところ、役所に限らず多くの人間は「昨日と同じ今日が続く」ことをいつの間にか望むようになるからであり、平穏無事とはその様な状態であるからであろう。
(*)「多くの」と「多かった」が重なっているが本文のママ
(2021年1月12日読了)
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