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読書日記
『あの家に暮らす四人の女』 読書日記231
2023年07月22日
テーマ:読書日記
三浦しをん『あの家に暮らす四人の女』中央公論新社(図書館)
著者を私は叙述に筋が通ったまともな作家であると信じているのだが、ときおり予想外(想定外)の話の展開やシーンが現れて、読者としての構えを変えなければならないことがあるようだ。図書館で現物を見て借りた本なので内容についてはまったく予想していなかった展開がこの本ではおこった。これが恩田陸作品であれば当然と思えるような変化であったのだが。
内容紹介によれば
ここは杉並の古びた洋館。父の行方を知らない刺繍作家の佐知と気ままな母・鶴代、佐知の友人の雪乃(毒舌)と多恵美(ダメ男に甘い)の四人が暮らす。ストーカー男の闖入に謎の老人・山田も馳せ参じ、今日も笑いと珍事に事欠かない牧田家。ゆるやかに流れる日々が、心に巣くった孤独をほぐす同居物語。
と言うものであり、現在の谷崎潤一郎『細雪』だという様な評もあった。実は『細雪』は未読なために私には比較しようがないのであるが・・
登場する四人は全員独身、つまり シングルだけど、一人≠カゃない暮らしをしている。前半は主に佐知の視点で語られていき、原田ひ香、高殿円、などの女流作家と似た匂いを醸し出すのであるが、読者に状況が分かってきたところでカラスによる視点と説明が入り込み。さらにこの洋館に忍び込んだ泥棒と佐知との対決場面ではいきなり(今は亡き)佐知の父親の視点で話が進み出し、普通の話がファンタジーに変身してしまう。
三浦しをんはこの本で織田作之助賞をとったと言うことだ。そして、三浦しおんは私にとって未読の作品が沢山あってまだ道半ばの作家であるが、地道に読み続けようと思う。
(2023年7月2日読了)
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