読書日記

『脳から見るミュージアム』 <旧>読書日記1407 

2023年07月11日 ナビトモブログ記事
テーマ:<旧>読書日記


中野信子・熊澤弘『脳から見るミュージアム』講談社現代新書

脳科学者の中野信子と藝大准教授(美術史・博物館学)の熊澤弘の対談集。実は『ペルソナ 脳に潜む闇』とほぼ同じ時に題名と目次に引かれて買ったもので、読み始めて「あれ、著者の一人が中野信子だ」と気づいた本である。なお、中野信子は時期が不明であるものの東京藝大の院生として藝大に入学し、熊澤弘の講義を受けており、それをきっかけとした対談の様である。

<主な内容>
はじめに ミュージアムは脳に似ている(中野信子)
第1章 ミュージアムの誕生:その華麗にして妖しい魅力に満ちた世界
 はじまりは「驚異の部屋」/記憶の三段階/コレクターと「絶対美感」/美術品は誰のものか、など
第2章 ミュージアム、その陰の部分:論争・ワケあり・ヤバいもの
 「公共性とは何か」/ナチスに翻弄されたコレクション/マインド・パレスを支配する/学芸員の使命/大量殺人犯の作品の展覧会、など
第3章 実際に鑑賞してみる:どんな作品をどのように観たらよいか?
 中村キース・ヘリング美術館の感性/金沢21世紀美術館の賢さ/正しい鑑賞法なんてないか?/ルーヴル美術館で遭難しかける、など
第4章 これからのミュージアム体験:アートはなぜ必要なのか?
 アフター・コロナの課題/現代アートはわかりにくい?/アートが社会にもたらす絶大な効果、など
おわりに 日本は世界に類を見ないミュージアム大国(熊澤弘)

『ペルソナ』を読んだ後だったので、中野良子著ということに引っかかりを感じたが、読んで見れば中野信子は控えめな話の聞き手であって、ほぼ熊澤弘の話が中心であった。言い換えれば「脳科学者中野信子が熊澤氏に美術の話を聞く」という本であってて脳科学もほとんど出て来ずこれも印象が良くなった理由の一つである。

と言うか、脳科学で云々は我田引水の類いであって根拠が薄い。また、中野信子を著者の一人とすることで「売ろう」とする出版側の意図が伝わって来る。もう一つ、本書は美術館に着いての本であるし、一般的にミュージアムとは美術館であると理解されて居るかも知れないが、私個人的には美術系以外の博物館も面白いと思っている。
(2020年12月30日読了)



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