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敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜 (三百七十五) 

2023年07月11日 外部ブログ記事
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「あらあら、鼻息のあらいこと。でもおしえるのは、商売のことだけにしてよ。浮気のしかたなんて、金輪際おしえないでよね! そうねえ、女の子がいいわね。そうよ、新しい女よ。女性経営者なんて、ちょっとしたものよね」 小夜子自身、男の子だと思っている。おなかの張り具合やら元気のよさを考えると、病院での妊婦たちの会話をきいて確信していた。しかしそれを武蔵に伝えることはない。万が一に間違っていたら、そんな思いもありはするが、小夜子の思いとして女の子がほしいと考えている。
気づいていないのだが、アナスターシアの生まれ変わりがほしいのだ。ともに世界を旅して、ともに幸せになりたいと切望していた夢をかなえたい、のだ。武蔵がきらいないのではない。どころか、好きですきでたまらない。出会いは最悪だった。小夜子のどん底とでもいうべきときにあらわれた。ナイトとしての役目を果たすべくあらわれた。正三がはたすべき役割を、おまえでは役不足だとばかりにあらわれた。そしてアナスターシアなき今、しっかりと小夜子を守っている。
「分かった、分かった。分かったから、こころ静かにしていてくれ。そうだ、欲しいものはないか? レコードはどうだ? 聞いた話だと、クラシック音楽がいいらしい。広いこころを持った子どもになるんだぞうだ。よしよし、何枚か買ってきてやろう。なあに、レコード店の主人に選ばせるさ。胎教にいいクラシック音楽は? ってな。それから……と。食べたい物はないか? 病人じゃないんだ。なん何でも食べていいんだろ? こんどの休みはだめだが、来週に行こう。ビフテキか? 寿司か?」
 日がな一日何をするでもなく過ごす小夜子だった。ゆったりとソファに腰をおろしての、レコード鑑賞の毎日だった。ビッグバンドの奏でるレコードをと考える小夜子だったが「だめだ、だめだ。赤子がビックリしてしまうぞ。クラシックだ、静かな曲にしておけ」と、変えられてしまう。しかし過ぎたるは及ばざるがごとしで、次第しだいに体重がふえていった。「御手洗さん、少し運動しようかな。黄信号だ、こりゃ。体重がね、増えすぎてる。どうだい、体が重いだろう? 立ち上がるのも辛いんじゃないの? 赤ちゃんもね、大きくなりすぎると辛いんだ。奥さん自体も、相当にふえてるよ。なんにもしないというのも、かえって良くないからね。散歩をするなりして、とにかく体を動かしましょう」と、医者の苦言をきかされるはめになった。

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