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敏洋’s 昭和の恋物語り
青春群像 ご め ん ね…… 祭り (二)
2023年07月03日
テーマ:テーマ無し
ぼくにとっての祭りの一番は、なんといっても見世物小屋だ。しかし最近では、よほどのことがなければ見かけることがない。もう過去の遺物となってしまったのだろうか。静子とはほとんど毎日のように顔を合わせているというのに、休日に会うときはこころが浮いてくる。制服は体にぴったりフィットしているスーツ姿で、私服のときにはゆったりとしたワンピスやらブラウスにスカートが多い。制服姿は大人びて見えるけれども、私服は姿ではまだ田舎娘まるだしに見える。そういう意味では制服の方がと思えるのだが、なんというかにほいが違うように思う。コロンとか香水とか、そういったものは付けていないはずだから、内面からかもし出されるものだ。制服姿と私服すがたでは――こういうことをいうと「エッチなんだから」と、肩をたたかれるだろうが――色香のようなものを感じてしまう。
伸ばしのばしにしてきた祭り見物に、最終日になったきょうにやっとでかけてきた。さすがに人出がおおく、ときに肩がぶつかり合うほどだ。あちこちで「いってえ!」と、ことさら大げさに言い合う声がきこえてきた。そのあとなにやら言い合う声があったが、すぐに笑いだすところをみると、どうやら仲間内でふざけあっているらしい。と、ぼくの耳に、あのなつかしい呼び声がきこえてきた。「さあさあ、お代は見てのお帰りでけっこーだよ〜。さあ、急いだいそいだ〜。でもー、心臓のわるいかたはやめとくれよ〜。化けてでられちゃあ、あたし、いやだからねえ〜。でもねえ、きれいなおねえさんの幽霊なら、だいかんげいだよ〜」 あわてて辺りを見まわしてみるが、それらしい小屋はない。「静子ちゃん。いま、呼び込みの声がきこえなかった? いまさ、きこえてきたんだよ」
しかし彼女は「しらなーい」と首をふり、けげんそうな表情を見せている。自分に興味のないことには、まったくといっていいほど興味をしめさない。なのでいまだに店では浮いた存在のようだ。まあ、そのほうがぼくにとってはうれしいことだけれども。辺りをキョロキョロと見まわしながら、「綿あめなんて子ども向けだし、イカの姿焼きはお口がよごれるし…」と、ひとり言をつぶやいている。 とつぜんに「あったあ!」と声をあげて、お目当てのりんご飴を売る夜店へとだっとのごとくに駆けだした。ぼくにいわせればリンゴ飴も子ども向けのお菓子のひとつにしか思えない。りんごそのものに毒どくしい赤色の飴をぬりたくった、しゅうあくなお菓子としか思えない。ちいさな子どもが口を真っ赤にしてぺろぺろとなめているさまは、たとえはわるいが吸血鬼のように思えてならない。人ごみをかきわけてまで追いかける気にならずに、ひとり取りのこされたぼくは、かたわらの玉垣に腰をかけた。
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