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読書日記
『女総督コーデリア』 <旧>読書日記1396
2023年06月19日
テーマ:<旧>読書日記
ロイス・マクマスター・ビジョルド『女総督コーデリア』創元SF文庫
著者のヴェルコシガン・サーガシリーズの1冊。このシリーズは主としてマイルズ・ヴォルコシガンを主人公として展開するがこの巻はマイルズの母親であるコーデリアが主人公である。なお、第1巻にあたる『名誉のかけら』はマイルズの父アラールと母コーデリアの出会いの話であったが、マイルズの父であり、コーデリアの夫であるアラール・ヴォルコシガンは前作で既に亡き人となっており、バラヤー帝国は息子のマイルズが国主となっていてコーデリアは惑星セルギアールの総督となっている。
ネタバレになることを厭わずに書けば、そこに絡むのがセルギアールの艦隊提督であるオリバー・ベン・ジョール。実は彼はアラールの恋人でもあった過去があり、アラール、コーデリアそしてオリバーは3人で一体の夫婦とでも言える関係であった。そんなの聞いてないよー、と言いたいがこれが本巻の中核であり物語の発端でもある。
ここにさらにベータ植民惑星の生化学が絡み、冷凍されたコーデリアの卵子によりマイルズは一度に6人の兄弟を持つ可能性が生じる。同時にコーデリアの卵子はオリバーにも提供され、生涯独身を貫くつもりであったオリバーも子供を持つことが出来る様になる。
話は惑星セルギアールの開発と経済。オリバーとコーデリアの恋愛関係、それらに絡むマイルズ一家や親戚などが500ページ余りの本書に詰まっている。私はこのシリーズを始めから読んでいることもあり、帯の謳い文句通り、シリーズの後日譚または外伝として楽しむことができたが、本書で初めてこのシリーズを読む人には向いていない。やはりシリーズの終わりに際して読むべき本である。
もしかするとまだ後日譚的な話が出されるかもしれないが、著者も70歳を超え、1989年に書き始めたシリーズをすでに30年以上続いている。出るとしても、あと1〜2冊であろう。
(2020年11月28日読了)
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