読書日記

『ペルソナ 脳に潜む闇』 <旧>読書日記1395 

2023年06月17日 ナビトモブログ記事
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中野信子『ペルソナ 脳に潜む闇』講談社現代新書

本書を買って読むまで、著者が『毒親』などで現在ブームとなっているらしいことが判っていなかった。と言うか、著者の『サイコパス』(2016年刊)を既に読んでいることも気がついておらず、初見であると思っていた上、この本が自伝的な内容であることも判っておらず週刊誌の書評と題名から少し気になっただけの本であった。

読了後、あらためて調べて見ると『サイコパス』以降に限っても
『ヒトは「いじめ」をやめられない』小学館新書 2017
『シャーデンフロイデ -他人を引きずり下ろす快感-』幻冬舎新書 2018
『不倫』文春新書 2018
『メタル脳 天才は残酷な音楽を好む』KADOKAWA 2019
『キレる!』小学館新書 2019
『引き寄せる脳 遠ざける脳』セブンプラス新書 2019
『毒親』ポプラ新書 2020
『ペルソナ 脳に潜む闇』講談社現代新書 2020
の9冊が出版されているらしい。

おそらく、これらの本の出版を知っていたら、本書は読んでいない。と言うのは出版された本の題名からはその中身が透けて見えるような感じがして新たな知見が得られるかという懸念がある。また、本人の考え方を知らずに自伝を読んでもほとんど意味は無いと思えるから。

書店で中を見た時(「はじめに わたしは存在しない」を読んだ時)には脳科学についてのものと勘違いをした。本文ではそこに述べたことの解説があると思ったのである。副題の「脳に潜む闇」は客観的なものや学問の成果ではなく、本人の脳(心)にあるものであった。

ちなみに題名に遣われている「ペルソナ」という言葉は、元来、ギリシア古典劇において役者が用いた仮面のことであるが、心理学者のユングは人間の外的側面をペルソナと呼んだ。言い換えれば、他者から見たその個人の「現れ」であるが、それが見る人によって違うのは当然のことであろう。そして、ペルソナによって自分自身が規定されるとすればそこに「わたしは存在しない」のも当然の帰結であろう。そういう常識から外れた知見があるのかと、いささかでも期待してしまったのは早とちりであった。
(2020年11月26日読了)



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