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『天は長く』 <旧>読書日記1371 

2023年04月29日 ナビトモブログ記事
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六道慧『天は長く』光文社時代小説文庫

六道慧は大体2013年ぐらいで時代小説を休止し、本来の推理物に戻っている中での新刊が本書。奥付が2020年9月20日に初版となっているので、久しぶりの六道慧の時代小説かと思ったら、2008年に幻冬舎文庫として出たものであった。出版社が変わったから確かに初版なんだが・・。

主人公、緒方弥十郎は貧乏御家人で母親多香女の贅沢な望みを満足させるため風来屋をしている。風来屋とは、喧嘩の仲裁、謝り仲人、お家騒動の肝煎役や用心棒など頼まれればなんでも行う仕事である。

冒頭は、弥十郎は頼まれて二晩を共にしたおりょうと別れる場面である。一種の用心棒として雇われたのであるが居心地の良さに別れがたい。が、家に帰れば母の多香女の小言が待っていた。この多香女というのが一種の豪傑で亭主を3度換え、それぞれに息子がいる。書家として名が売れているのもあるが、墨相占いというものも良くする。

その他に表坊主の宗順、小者の也寿などの登場人物が軽快な話しの進行に伴って現れるが、そんな中でおりょうが殺される。それは何故か?という謎を縦糸にして話は紡がれていく。弥十郎が解明した真相はとある藩の財政問題であった。

amazonで調べたら、この御家人風来抄シリーズは全6冊。旧版を古書店で探すか、新版が出るのを待つかちょっと悩ましいが、多分、古書をあさるんだろうなぁ。
(2020年9月20日読了)



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