読書日記

『陰の人』 <旧>読書日記1586 

2024年05月01日 ナビトモブログ記事
テーマ:<旧>読書日記


佐伯泰英『陰の人』光文社文庫

本書は2003年3月に第1冊目が出版された吉原裏同心シリーズの36冊目であり、本の装幀が変わった。著者のあとがきによると「吉原裏同心」「吉原裏同心抄」「新・吉原裏同心抄」とシリーズ名を変えてきたが、著者自身の断固としたシリーズへの心構えと考えが希薄ゆえ、かような仕儀に相成った、と書き、シリーズタイトルをどう変えようと「吉原裏同心」であることに気がついたと言う。で、元に戻すがカバーデザインを一新し通算番号をつけたということだ。

思えば私も第1巻の「流離」から長く付き合ってきたものであるが・・著者の「居眠り磐音シリーズ」は全51巻で終わり、引き続いて磐音の息子の空也を主人公とした新シリーズが始まったが3巻目まで読んで続きを読むのを止めた。

さて、本書は長く吉原を束ねてきた会所頭取の四郎兵衛が死に、すべてを乗っ取らんと着々と勢力を固める一味。その周倒な計略に、残された面々は苦境に耐えるばかり。吉原を過去最大の危機が襲う。

この難問を京にいる神守幹次郎はどう対処するのか。急遽一人で今日を立った幹次郎は・・というところで前巻が終わり、話はどう展開するのかと思わせたのであるが、幹次郎は表だっては江戸に姿を現さず「陰の人」として、黒幕の高級旗本やなどを斬って乗っ取りの企てを終焉させ、京に戻る。という乱暴な筋立てである。

正直に言えば、もうすぐ80歳になるという著者の筆力の衰えを感じてしまった。あと、どれだけこのシリーズが続くか判らないけれど、ある意味、今は惰性と習慣で読んでいて、シリーズの終わりを待っている。
(2021年10月17日読了)



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