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敏洋’s 昭和の恋物語り

芥川龍之介作[ 妙な話 ]読後観 

2023年04月03日 外部ブログ記事
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4/2(日) 
早朝 04:00頃、空腹感で目が覚めました。4/1(土)の午後のオイル交換時に芥川龍之介作[ 妙な話 ]を読んだのですが、その読後観をお話しすることに。
−−−−−日本の推理小説研究家である山前譲編[ 文豪たちの妙な話 ]に収められています。他には、夏目漱石・森鴎外の両巨頭と、太宰治・谷崎潤一郎、そして正宗白鳥・横光利一、解説などでよく名前を見る佐藤春夫・久米正雄、最後になりますが、失礼ながら存じ上げない梶井基次郎の十人の作品がありますよ。興味のある方は――河出書房新社出版の文庫本です――是非にも。−−−−−
[わたし]の旧友の妹の話です。その妹の旦那が軍人で、結婚後半年で欧州戦役中の地中海方面に派遣された「A――」の乗組将校という設定です。週に一通届いていた手紙がパッタリと届かなくなり、次第に追い詰められて神経衰弱を患ってしまいました。紀元節の朝から雨が降った日で寒さの厳しい午後に、鎌倉に行くと言いだします。旧友は止めたものの、出かけていきます。ところが、電車の中央停車場に着いたときに、突然に赤帽(ポーター)に声をかけられます。見も知らぬ男ですが「旦那さまはお変わりございませんか」と、夫のことを知っている素振りです。
便りが来ないとグチる妹に対し「ではわたくしが旦那さまにお目にかかって参りましょう」と答えます。地中海にいる夫に会うなどと気味の悪いことをいう赤帽でしたが、いつの間にかいなくなってしまいます。どころか、その顔を思い出すことができずに、そこら中にいる赤帽みながその男に見えてしまう始末です。赤帽たちの視線が気になり、とうとう雨の中を傘もささずに逃げ帰ってしまいました。
その翌日から高熱がつづき、「あなた堪忍してください」だの「なぜ帰ってらっしゃらないの」だの、夫と話しているかのようにうわごとを言いだしてしまいました。悩まされていた赤帽のことからようやく逃れえたと思ったひと月後に、またしても赤帽に脅かされてしまうのです。「わたし」が朝鮮へ立つ時に見送りに来なかったのは、赤帽が怖かったせいだと旧友が言います。
三月になって夫の同僚がアメリカから帰ってくることになり、妹は停車場まで出迎えに行きます。その途次にまた、あの赤帽の声で「旦那さまは右の腕に怪我をしていて、手紙の来ないのはそのせいだ」と告げられます。とっさに赤帽を探しますが 、誰もいません。ところがまた「旦那さまは来月には帰られますよ」と、声がかけられます。しかし同行した者たちは誰も知りません。
そのひと月後に、実際に夫が帰ってきました。そして半月後に任地の佐世保に向かうことになります。その折に、停車場にあの赤帽が現れて、夫に挨拶をするのです。夫も顔見知りで――なんとマルセイユの地で会話したというのです。そんなところに日本人の赤帽がいるわけもないのですが、夫は不思議ともなんとも思わなかったというのです。さらには右腕の負傷で手紙を書けなかったこと、帰朝の時期が近いことを話してしまったのです。ただ、一緒にいた同僚たちの誰ひとりとしてその赤帽の記憶がないのです。
それにしてもラスト4行が衝撃でした。芥川の芥川なる所以ですね。このラストから、ミステリーとされたのでしょうけど。ネタバレとなり恐縮ですが、その女性と「私」は不倫だったのです。二度までも「私」と中央停車場での密会の約を破った上、「永久に貞淑な妻でありたい」。その手紙の謎が、今夜はじめて分かった…… と、しめてありました。
旧友の妹である人妻が、夫の留守中の寂しさに耐えられずからの不倫だったのでしょう。赤帽の話が、自責の念にかられた妹の告白だったのか、あるいは旧友の作り話で、「私」への警告だったのか、どちらでしょうか。それにしてもこのミステリー仕立て話、芥川の見栄――女にもてるんだよ、ぼくは――のような感覚に襲われたのはわたしだけでしょうか。やっぱり、面白かったです。さすがに、敬愛する、芥川龍之介作でした。

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