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「雁風呂」〜今の季節の物語 

2023年03月24日 ナビトモブログ記事
テーマ:日々雑感

一昨日、WBC決勝戦後は、用事を済ませ、そのまま桜を見に行った。昨日が雨模様だとわかっていたからだ。
まだ、三分咲きくらいだったが、今年初めてのソメイヨシノだ。

市の係員が公園内に夜桜用のぼんぼりの設置をしている。
コロナ禍の自粛を我慢して、\ヤッホー/ 三年ぶりの喜びの姿が見えてくる。何気ないこんなものが嬉しい!

だが、その前に雁の北帰行は始まっている。
秋に渡ってきた彼らは帰っていく。しかし、すべての雁が帰る事は出来ない。そんな雁のお話を去年の終わりに知った。

「雁風呂」〜津軽地方の宿の婆さまと泊り客の物語。

風呂を焚きながら、客の身の上話を
そうか、そうかと聞いてあげる婆さま。
湯船に浸かってる客は、悲しい話を語り始めた。

江戸からやってきた客には津軽生まれのおかみさんがいた。
しかし、連れ添って8年目、28歳の若さで亡くなった。
そのお骨と共に津軽にやってきたのだ。

「哀れだな〜津軽生まれだば美人だったべ」
婆さまは、そう言って心寄せた後に、青森県の外ヶ浜あたりの漁師村のかわいそうな言い伝えを語って聞かせた。

雁は、日本に渡ってくる時、海で羽を休めるために、
木片をくわえてやってくる。そして、春になりまた帰る時に
浜に落としておいた木片をくわえてふるさとに帰る。

しかし病気で死んだり、人の手にかかって死んだ雁の木片は
浜に散らばったままなのだ。その主のない木片を集めて、風呂を焚き供養するというのが雁風呂だと。

今年の雁もみんな帰っていった。
婆さまは、浜辺から拾ってきた木片で今日も雁風呂を焚く。
「おまえさまに入ってもらえば、
   死んだ雁もおかみさんもきっと本望だべ」

返事はなかった。辛かったのだと察した。

「あとで、一杯のんだら、浜さ出てみれ。
            いい月夜だどー」

私は優しくて切ない、
寒村の浜辺の木片を思い浮かべた。



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来音さんへ

ローランサンさん

おはようございます。

>きっと、表になっていない沢山の切ない話が
>沢山あるのでしょうね。
>日本民族の習性からこのような話は沢山あると

そうですね。ただ、知らないだけで
その地方地方で
語り継がれているものがあるでしょうね。

2023/03/25 05:36:57

風の鳥さんへ

ローランサンさん

おはようございます。

いい話ですよね。遠く北の漁師村だったから、
生まれた言い伝えのような気がします。

>日本人的短調の物語
わびさび とは少しニュアンスが違うかもしれないですが、陰性、質素で静かなものとか
人の世のはかなさ、無常と言ったものに美しさを感じる日本人独特の感性なのでしょうね。
そうして、日本の素晴らしい文化が生まれたのですからね。

>俳句では,雁帰る そして燕くる が春の季語です。

有難うございます。本当に今の季節ですね。
「風が吹く」と言わなくても
「風」で 何もかも表す世界が俳句。
季語の存在、季語に託す思いを味わう中で
やはり、日本人らしい感性の豊かさを思います。

2023/03/25 05:33:44

喜美さんへ

ローランサンさん

おはようございます。

>初めて聞きました 何回も読みました
有難うございます。
婆さまの津軽弁もあって、しみじみするお話になっていますよね。

2023/03/25 05:24:12

漫歩さんへ

ローランサンさん

おはようございます。
毎年、毎年、渡ってくる雁たちを見ながら
そして、漁師たちは、海辺の木片に色んな思いを感じたのでしょうね。

このお話は、私も知った時に何て良い話なんだろうと
思いました。雁風呂は、落語にもあるようですが
また、違った味わいのお話なのでしょうね

2023/03/25 05:23:07

知らない日本昔話...

来音さん

心に響く話ですね。
きっと、表になっていない沢山の切ない話が
沢山あるのでしょうね。
日本に限ってはいないと思いますが、
日本民族の習性からこのような話は沢山あると...

ローランさんも持ってますね!( *´艸`)

2023/03/24 22:42:31

いい話ですね

風の鳥さん

海の木片から思いついたのでしょうか、雁風呂というのは素晴らしい着想です。日本人的短調の物語ですね。

俳句では,雁帰る そして燕くる が春の季語です。
よく見れば、自然は壮大なドラマに満ちていると思います。

2023/03/24 17:35:33

「雁風呂」

喜美さん

初めて聞きました 何回も読みました

2023/03/24 10:13:17

再びの拍手

漫歩さん

二度読み返しました。心に染みるブログでした。

2023/03/24 09:38:03

TOSHI(トシ)さんへ

ローランサンさん

おはようございます。
あ〜もうそんな時期ですか
月末がやってきたんですね。

雁風呂のお話は、日本人ならではの感慨深い言い伝えなのかな〜と日本人の感性を思いました。

季節ごとの花鳥風月を愛でる日本人をすごく感じます。
どうぞ、飛び立った雁たちは、無事着いてほしいですね。

そして、日本から飛び立てなかった雁たちの命も
愛おしんであげたいですね

気を付けてお帰り下さいね。

2023/03/24 08:17:55

onさんへ

ローランサンさん

おはようございます。

onさんは水鳥に詳しいから、
色々見てこられたのではないでしょうか?
今年の北帰行を昨日も調べていましたけど、
早いところは始まっていましたね。
雪が根深いと大変らしいですが、
その地方によってさまざまなのでしょう。

それにおっしゃるように飛び立ったとしても
ちゃんと無事に帰るまで、困難があると思います。
どうぞお願い!って、祈る気持ちだけですね。

命の神秘と尊さを感じます。

2023/03/24 08:13:50

ローランサンさん

TOSHI(トシ)さん

おはようございます。出発が30分遅れて、
現在、関西に移動中です。
雁風呂、ほんませつない話ですね。
渡り鳥たち、無事に進めますように。

2023/03/24 07:35:09

北帰行

onさん

もう雁たちもハクチョウたちも
帰り始めたらしいですね〜

帰る時を間違えたら
命の危険があるという渡り

皆無事に帰れたらいいな〜(^_-)-☆

2023/03/24 07:05:56

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