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読書日記
『間抜けの構造』 読書日記1349
2023年03月15日
テーマ:<旧>読書日記
ビートたけし『間抜けの構造』新潮新書(図書館)
この本も前の日記同様に図書館で見つけたもの。正直に言うと、買うまでのことは無いと思っていた本で、出版(2012年)されてからしばらく立っているというのも時勢から離れて読めるという点で良かった。
前書きに曰く
辞書を引くまでも無く、間抜けというのは「”間”の悪いやつ」のこと。
この”間”というのが大変厄介なもんであってさ。
これについて考え始めると、そう簡単には結論が出ない。
目次を見れば
第1章 間抜けなやつら
第2章 ”間”を制すもの、笑いを制す −漫才の”間”
第3章 お辞儀がきれいな人に落語の下手な人はいない −落語の”間”
第4章 司会者の”間”を盗め −テレビの”間”
第5章 いかに相手の”間”を外すか −スポーツ・芸術の”間”
第6章 映画は”間”の芸術である −映画の”間”
第7章 ”間”の功罪 −日本人の”間”
第8章 死んで永遠の”間”を生きる −人生の”間”
という構成。
で、読んで見るとビートたけしの独演会であった。所々に自分の人生を振り返りつつそれぞれ漫才、落語、テレビなどの”間”について語っているけれど、”間”が何かは判らない。
辞書を引いて見ると
1 物が並んでいるときの空間。あいだ。あい。すきま。「車と車との間を置く」
2 家のひと区切りをなしている部屋。「次の間に控える」
3 畳の大きさを表す名称。「京間」「江戸間」
4 連続している事と事のあいだの時間。ひま。いとま。「食事をする間もない」
5 話の中に適当にとる無言の時間。「話は間が大切だ」
6 邦楽・舞踊・演劇などで、拍と拍、動作と動作、せりふとせりふなどのあいだの時間的間隔。転じて、 リズムやテンポの意に用いる。「間をとる」「間を外す」
7 ちょうどよい折。しおどき。ころあい。機会。「間を見計らう」
8 その場のようす。その場のぐあい。
9 家などの柱と柱との間。けん。
これらのうち部屋に関する2、3、9を外して見ても、「間」には時間・空間(おや、ここにも間がある)にまたがって多くの意味がある。そして同じ「間」という言葉を使っていてもどの意味で使っているかは変化する。言い換えるとその意味は固定されておらず場や状況によって変化するというまさにあいまいな日本語の特性みたいな言葉である。
さらに言えば「間が抜ける」にも大きく2つの意味があって
2 大事なことが抜け落ちている。「―・な話」
1 調子が外れる。拍子抜けする。「―・けた音楽」
となるから、結局、1つの語義だけで語ろうとしても間に合わないのである。
(2020年7月13日読了)
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