メニュー

最新の記事

一覧を見る>>

テーマ

カレンダー

月別

敏洋’s 昭和の恋物語り

水たまりの中の青空 〜第二部〜 (三百三十一) 

2023年03月10日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



 よくじつのこと。久しぶりの武蔵の訓示だ。全社員が、直立不動でたっている。「きょうは、みんなを褒めようと思う。みんなだ、全員だ。俺以外の全員をだ。そしてみんなして、社長であるこの俺を、御手洗武蔵をしかってくれ」 何事かとざわつく面々に、「みんなの頑張りのおかげで、富士商会の業績はのびている。ひと頃ほどではないにしろ、同業他社よりはるかにいい業績だ。しかし気になることが出てきた」と、切りだした。
「本来なら、社長である俺が、もっと早く気づくべきだった。かるく考えすぎた。富士商会は、仕入れ値をおさえることには長けている。そのことに胡坐をかきすぎたかもしれん。一部とはいえ、集金時に値引き要求をする店がある。小額だったゆえに、俺もやむ得ぬかと決済してきた。しかし、よくよく調べてみると、かたよった地域に限定されていることに気づいた。それで専務に調べさせてみると、日の本商会なんてふざけた名前の会社があがってきた。富士商会に対抗しての、日の本商会だろう。しかもだ、おんな社長だ」
 怒り心頭で、拳を振り上げる武蔵だ。「いいか、みんな。女なんかに負けられるか? 家庭の中で負けるのはかまわん。まして、寝屋で負けるのはしかたない。そうだろう? しかし、しかしだ! こと、商売に関しては、負けるわけにいかん。この地区は、いま服部が担当している。話を聞くと、行く先々で競合しているらしい。そしてほとんどで負けている。押しが足りんからだと、叱責してしまっていた。一喝してしまったが、悪いことをした。そうじゃなかった。服部、すまなかった。チャラチャラしている普段のお前から、つい手抜きをしていると思ってしまった。竹田からもその旨きいていたが、聞く耳を持たなかった俺がわるい」 深々と腰をまげて、社員に頭をさげた。
「よって、むこう三ヶ月間、社長の給料を半減する。そして服部には、これまでの叱られ賃として、三ヶ月のあいだ給料の二割をふやしてやる。それで勘弁してくれ。」 武蔵の謝罪にもかかわらず、社員たちが叱責されているようにうけとめていて、ほとんどの者が下をむいている。「ましかし、服部のことだ。その金で、キャバレー通いが、また増えるだろうなうらやましいことだ。ほどほどにしておけよ、な」 笑いをとるべくはなしを柔らかくしたが、笑いがもれることはなかった。「そこでだ、対策として、日の本商会のとくい先をすべて洗い出して、徹底攻勢をかける。富士商会のなわばりを荒らしたらどうなるか、天下にしめしてやる。以後、富士商会には二度と手をださせなくしてやる。半端なことはしない」

>>元の記事・続きはこちら(外部のサイトに移動します)





この記事はナビトモではコメントを受け付けておりません

PR







掲載されている画像

    もっと見る

上部へ