サンシャインクリーニング

怠けた目で見ているの 

2023年02月28日 ナビトモブログ記事
テーマ:日々雑感

二月も今日でおしまい。
そして28日はビスケットの日。
ラテン語で二度焼(八)かれたという意味が語源らしい。ビスケットには紅茶が好きな組み合わせだ。

昨日、お昼のニュースで移民を乗せた船が
イタリア海岸近くで転覆し59名の犠牲者だったと流れた。
彼らは、どんな人だったのだろう? 

私は、「顔のない遭難者たち」という本を
一昨日読み終えたばかりだったから、あまりにも偶然すぎて心がざわついた。書かなきゃ!

事故、事件ならば、身元を特定するための捜査をしてもらえるが、移民の死は、検死する理由もない。
数字で片付けられてお終いになる。

でも待っている家族、送り出した家族にとって
愛する人の最期が、だたの数字で終わるなんて納得できない。
その姿を見るまではと思うのが、人間の心情ではないのかな。

「娘が死んでいることがわかればどんなにいいか」
たまに希望を失わずにいることをある種の刑罰のように感じるときがある」
そう語る女性のお化粧は崩れない。涙はもう出ないから

このやり場のない、宙ぶらりんな死を
本の中では、「曖昧な喪失」と表現していた。

著者は、まさにニュースのような事故で
行方不明になった移民・難民のために
身元確認調査に奔走しているイタリア人の法医学者だ。
尊厳ある人間として、名前を取り戻してあげたいのだ。

また、本は朗読劇にもなったし
活動の一つは「海は燃えているか」という映画にもなってベルリン国際映画祭で金熊賞も貰っている。

映画の中で象徴的なシーンがある。
ヨーロッパを目指して、
移民が命がけでやってくる島に暮らす少年が、
ある日、医者から 左目が弱視だと言われる。

「弱視だな。意味わかる?目がちゃんと働いてない。
怠けているんだ。だから君の脳は左目に映る
イメージを受け取っていない。仕事させなきゃ」

私は、目の手術によって、再び素晴らしい
この世の色、生きてる喜びを知った。
けれど、島の少年のように「怠けた目」で世界を見ているようだ。
数字でしか見えない出来事が多すぎる。



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