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敏洋’s 昭和の恋物語り

[ブルーの住人] 蒼い情熱 〜ブルー・れいでい〜 

2023年02月26日 外部ブログ記事
テーマ:テーマ無し



(一)腹立たしいもの
見上げる空のどこにも星はなく、月もない。すき間なくおおいかぶさる、くもくもくも。なん層にもかさなる雲からは、今にもぽつりぽつりと雨が降りそうだ。少年の心内をうつしだしている空もようだ。一点の晴れ間もないそのやみぞら――一点の曇りもないその闇空のごとくに、少年のこころは沈みきっていた。
どこからともなく、静かにひと筋の糸となって降るあめ、少年は好きだった。きっても切っても、それは糸としてつらなる。そして次には、ボトリボトリと水滴となっている。そしてまた、糸のいろだ。トウメイであるはずなのに、白となりあるいはぎん色にかがやく。赤になり青になることもある。あたりが発する光をからだ全体で受けとめ、それに浴されながらも、それ自体が美しいということが良い。そうおもう、少年だった。
しかし今夜の少年には、なにもかもが腹立たしかった。ふりそうで降らない雨、少年には腹立たしい。そして雨がふりだ出したとしたら……やはりはらだたしく感じるだろう。まとわりついている湿りけが、少年の衣をおもくする。じとじとと攻めたてるしめり気が、少年のからだを重くする。
やみぞらが腹立たしい。月の出ていないことがはらだたしい。星がまばたいていないことが気にさわった。そしてこの闇空の下において、目映いばかりのネオンサインのあふれる街。つきあかりを拒否するがごとくのネオンサイン。風流ふぜいのないことがあたりまえの、この歓楽街。それが腹立たしい。
色とりどりの華をさかせるネオンサイン。赤あり紺あり緑あり、はては黄ありのネオンサイン。少年のこころの憂鬱さにくらべて、あまりに華でありすぎる。それに染まらぬ、そのなかに溶け込めぬおのれが、少年ははらだたしかった。良い子であり過ぎた、己の過去を忌まわしく感じている。優等生のおのれが腹立たしかった。

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