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敏洋’s 昭和の恋物語り
水たまりの中の青空 〜第二部〜 (百八十一)
2022年01月06日
テーマ:テーマ無し
「何だと!」。二人が同時に怒鳴った。「申し訳ありません、母が猛反対しまして」「五平! 説得できたんじゃなかったのか!」。睨み付ける武蔵に、五平はうまく声が出ない。怒り心頭に発した折の武蔵は手が付けられない。そこらにあるものを手当たりに投げ散らかす。
昨年の夏に仕入れ先からの接待で出かけた折に、武蔵の女遊びを聞きつけた担当者が、気を利かせたつもりで店一番の女給をあてがった。スレンダーな体つきながら、胸の膨らみを強調したドレス姿で「あやこです、よろしく」と武蔵の前に立った。「こいつは驚いた。こんな場末のキャバレーに、掃き溜めに鶴だな、まったく」。目尻を下げている武蔵の表情に満足げに頷く担当者が「社長の好みに合えばよろしいんですが」と、もみ手をせんばかりに武蔵の隣に座らせた。「スタイルは100点満点ですが、ちょっと肌の色が……。この娘、混血でして。一流キャバレーでは雇われないものですから。社長に仕込んでもらえれば、、」
言い終わらぬうちに、武蔵の怒声が飛んだ。「お前、どういうつもりだ! 女を商品扱いする奴なんか信用できるか。加藤、こんな奴とは取引するな!」 思いがけない武蔵の怒りように、どんな失態をしたのかと慌てふためく担当者に対して、並々と注がれたビールをコップごと投げつけた。たかが女給だとばかりに差し出す姿勢を見せた担当者が、武蔵には許せない。武蔵自身が口説き落としてのことと、相手に言い含められている女給とでは、その質が違う。
すべてにおいて、他人に宛がわれることを良しとしない武蔵であり、物乞い扱いをされることに我慢ならない武蔵なのだ。逆上した武蔵には前後の見境が付かなくなる。罵詈雑言を浴びせたり物を投げつける癖がある。ただ五平には、それが武蔵の計算からのことのように感じられることもありはするのだが。しかも今は小夜子がいる。己を失う様は見せないはずだと、五平は確信していた。
「いや、それは。確かに納得してくれた筈ですが」 首を傾げつつ、竹田に目を向ける。「社長。それは、専務が悪いんじゃないです。一度は母も納得したんです。ところが翌日に霊能師がやってきまして、また説得されたみたいなんです。昼間のことで、母一人だったものですから」「よし、こうなったら実力行使だ。五平! 今から行って、入院させろ。誰がなんと言おうと、入院だ。救急車だぞ、いいな! 母親が反対しても、強行だぞ。竹田、いいな。お前が引っ張るんだぞ、これからは」
「うっうっうぅぅ」。突然、小夜子の泣き声が、武蔵の耳に入った。「な、なんだ? 小夜子を叱ったわけじゃないぞ。泣くな、小夜子。俺が悪かった。な、な、泣くな」 オロオロとする武蔵を見た竹田、信じられぬ思いだ。五平の渋い顔が、凝視していた竹田の視線を外させた。「違うの、お姉さんがお可哀想で。タケゾー、きっとね。キチンと面倒を見てあげてね。そうだわ。病院では、あたしがお世話するわ。あたしの母が労咳を患ったの。だから多少の心得はあるのよ」
母に抱かれた記憶がない小夜子。近付くことさえ許されなかった小夜子。労咳と言う病が憎くて堪らない。「そうだったな、小夜子のお母さんもだったな。しかし今は、特効薬も手に入る。しっかり養生すれば大丈夫だ。よし、すぐに行け。専務、頼むぞ」
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