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敏洋’s 昭和の恋物語り
ボク、みつけたよ! (二十八)
2021年12月26日
テーマ:テーマ無し
高校に入って初めての夏休みのことです。声をかけられたのは夏休みに入る少し前のことです。
上級生の女子生徒に声をかけられました。純朴な青年じゃなくて、まだ少年ですね。
「すこし話をしたいんだけど」だったか「楽しいところに行かない?」だったか、そんなようなことだったと思います。
女子生徒との会話なんて、挨拶のことばすらまともに言えない時期のことですから、初めてのことでした。
いや女子生徒だけではなく、同性とも話をした記憶がありません。
学校に着いて1時間目の授業を受けて、給食を食べて2、3、4時間目の授業を受けて、ひと言も声を発することなく帰路についた日もありました。
すみませんねえ、いつものくせで。中々本題に入ら、、、入ります、すぐに。
そんなわたしですから、声を発することなく、ただただ頷くだけでした。
どこかで待ち合わせをして向かった先が、どこかの体育館だったような、とにかくだだっ広い部屋でした。
そこに若者たちが大勢居ましてね、その中の一人が見覚えのある人でした。
なぜ分かったかというと、ある意味有名人でして。
学校の正門前で、登校してくる学生たちにビラを配ったり演説をする一団がいまして、そのリーダーだったんです。
先生たちといつも押し問答をしている人で、そういうことで有名人だったんです。
その場所でいきなりフォークダンスが始まりまして、わたしも女子生徒に手を引っ張られて輪の中に入らされました。
ですがわたしはただ突っ立っているだけで、その輪の中に入れません。というのも、経験がないんです、わたし。
女子生徒と手を握り合って踊るなんて、天地がひっくり返ってもあり得ない、できないことなんです。
で、何度か誘われるんですが、ただただ突っ立っているだけでした。
その後に円陣を組んで床に座り、あのリーダーが中央に入って演説を始めたんです。
要するに勧誘だったわけです。
わたしの他にもそうやって連れてこられた学生が多々居まして、居心地の悪そうな顔をしていたと記憶しています。
後に知ったのですが、民青とかいう組織のようです。
その後ですか? きっぱりと断りました。ええええ、きっぱりとです。
ただあっけないものでした。「あ、そう」てなもんでしたから。こちらが拍子抜けするぐらいでしたから。
もしももしも、もう一度、いや三顧の礼を持って迎えられていたら……、またのこのこと付いていったかも?冗談ですがね、これは。彼女はオルグのスカウトウーマンだったわけですね。
ですから、きれいな女性だったわけですよ。
いわゆるデートのお誘いだと、驚天動地状態のわたしだったわけですから。
完全に裏切られたわけですし。まあ相手にしてみれば、わたしみたいな軟弱な男を勧誘しても、ということだったんでしょう。
でも意外にわたしみたいな男が、組織に対しシンパシーを覚えたら、猛烈組織人になったりして、ね。
仲間という言葉はあまり使いたくありませんが、当時のわたしは独りなんですわ。小6のときに九州から本州のど真ん中に引っ越して、そして半年間の小学校生活を送り、親友と呼べる相手も作れず。いや、作らず、か。
そして県内でも最大学生数を誇るマンモス中学に入学。
3,000人とも言われる人数の中に放りこまれました。
まさしく、わたしにとっては放り込まれたのです。 すでに兄は卒業しています。
しかし兄は立派な足跡を残していました。県内一の進学校に入学しているんです。「おお、君が弟か」。「兄さんほどではないにせよ期待してるよ」。けれども、わたしはわたしであり、兄ではないのです。
?
*年内は、ここまでとします。新年明けは、8日(土)からとさせてもらいます。猛威を振るった新型コロナですが、とりあえず収まっているようですね。このまま収束とは行かないでしょうが、何とか早く効果のある飲み薬が出来上がることを期待したいものです。通常のインフルエンザとなってくれれば、今ほどの警戒心は抱かずに済むでしょうし。ですがこの2年というもの風邪も惹きませんし、何よりも体調の安定が続きました。自分を褒めてやりたいと思います。では皆さん、「良いお年を!」
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