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瀬戸内寂聴 

2021年11月12日 ナビトモブログ記事
テーマ:生きる

情熱的な生き方や恋愛小説、法話などで有名だった寂聴さんが11月9日に亡くなった。99歳だった。

早速、93才の時に書いた恋愛小説わかれ』Kindleで読んでみた。
凄いです。やっぱりあっぱれだなと思った。43才も年下の彼、実際に居たかどうかはわからないが、それを書くのがすごい。

『愛した、書いた、祈った』と墓石に刻むそうだ。そのとおりなんだろうな。得度して寂聴となったのだから、悟りの境地なんだろうと思っていたが『祈った』なのだ。悟った、とならないのがいい。だから、最期の小説もなるほどと思う。

小説の中で、
「女は誰でも男のただ一人の女になりたいのよ」「先生は、男からこの男にとっては自分ひとりだという満足感を与えられましたか」
と93才の女性画家が逆に50才のカメラマンに尋ねられる行がある。
言葉につまる主人公。結局その答えは書かれていない。自分が若かりし頃、別れはいつも、男に捨てられたと見せかけたが、実際には自分が決めた。一人の男を自殺にまで追い込んだこともある。罪深さを背負って、決して自分は幸せになってはいけないと誓った、と語らせる。しかし、
小説の後半はこう書いている。

「わたしを理解してくれているのはこの人しかいない」
スマホでやり取りする二人が描かれ、カメラマンがクリミア危機のウクライナに出発してわかれとなる。
最後の言葉は、洒脱だ。
「男から別れを持ち出されたのは、長い私の生涯のなかでひとりだけ」つまり内乱のウクライナに旅立ったあなただけだと。メールで打とうとするが、思い直し打たず、『・・と告げたかった』で終えている。

93才にして、性を越えた愛に至った時に、ただ一人理解してくれる存在が居たことに、深い満足感を覚えていたというのが、答えなんだろう。
人生の最期まで、だれかが自分を理解してくれているというだけで、至福の満足感を与えらる。悟りが拓けなくても、祈りの末に満足感があるなら、それがいいなあと思った。



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あっぱれですね

ジューンさん

ちぐささん、こんにちは。
私も寂聴さんのファンでした。彼女は、最期の最期まで、命を燃やして生き切った感じがします。私も頑張ります。

2021/11/12 12:36:33

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