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敏洋’s 昭和の恋物語り
水たまりの中の青空 〜第一部〜
2020年11月28日
テーマ:テーマ無し
(四十二)
「アナスターシアがね、あなたのことを『とっても可愛い!!』”と言ってるの。『妹にしたい、家族になりたい』って、言ってくれてるのよ」
前田が小夜子の耳にそっと告げた。“羨ましい子ね。世界的なモデルのアナスターシアに、ここまで褒められるとは。ほんと運の良い子だわ”。
「ほ、ほんとですか? 嬉しい! こんなステキな女性に、そんな風に言ってもらえるなんて」
小躍りしたい思いを抑えて、何度もアナスターシアの祝福を受けた。
「さあ、さあ。皆さん、大急ぎで着替えてくださあい。この後、打ち上げ会をやりまーす。当百貨店で二次会まで用意しています。是非、ご参加くださあい」
「うわあ、太っ腹! さすが、坂田さーん」
モデルたちに歓声が上がり、バタバタと着替えを始めた。
「小夜子さん、あなたも参加してね。アナスターシアも、参加するの。あなたとね、お話しをしたいんですって」
「うーん。だめなんです、あたし。田舎に帰らなきゃならないので、そんなに時間取れないんです。すごく残念ですけど」
「ニエット,ニエット!」
前田の言葉に、アナスターシアが小夜子の手を取った。ひんやりとした手で、驚くほどに細い指をしていた。アナスターシアと前田の間で、しばらく会話が続く。小夜子には、さっぱり分からない。
“あたしも英会話の勉強するべきかなあ。そうすれば、直接話せるのよねえ”。そんな思いが湧き出た。“決めた。東京に出たら必ず頑張るわ”。茂作の反対する顔が浮かんだが、すぐに打ち消した。なんとしても、どんなことをしてでも出るのだ、思いを固めた。
「困ったわ、我がままで」
前田が小夜子に顔を向け、「実はね」と口にして、しばしの間を取った。
「アナスターシアが、あなたをホテルに連れて行くと言うの。そこでね、お食事をとっておしゃべりもしたいと言うのよ。勿論、わたしを間に入れてだけどね。だけど、わたしも次の仕事があるしね」
真っ赤な嘘だった。前田に次の仕事はない。デザイナーの卵だと言っても、前田自身がそう言っているだけで、認められている訳ではない。百貨店側は、通訳としての契約である。マッケンジーも、そう思っている。実のところ、この通訳の仕事が一週間ぶりの、仕事らしい仕事だった。カフェのメイドで生計を立てている前田にとって、久しぶりの通訳であり、ファッション関係の仕事などいつ以来か忘れたほどだ。ゆえに、このチャンスを最大限生かしたいのだ。できうれば、この後アナスターシアが日本に滞在している間中、通訳としての仕事を入れたいのだ。
マッケンジーにその旨伝えた折には、「アナスターシア次第だな、彼女は気難しい。彼女が君を望めば、契約しょう」と、告げられた。で、ここで小夜子を口説き落とせれば、アナスターシアの心証が良くなり、契約されるということになる筈だ。
“世界のアナスターシアの誘いを断る馬鹿は、いないわよ”と、高をくくっていた。
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