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敏洋’s 昭和の恋物語り
水たまりの中の青空 〜第一部〜(三十八)
2020年11月26日
テーマ:テーマ無し
「あたし、前田ふみ。あなたのお名前は? 」
「は、はい。あたしは、竹田小夜子と言います」
「そう、さよこさん。いい名前ね、マッケンジーが喜びそうな名前よ」
「前田さんは通訳の方ですか?」
「本業はね、違うの。デザイナーの卵なの。今、勉強中。
で、食べるためにね、通訳してるの。
デザイナー相手だと、すっごく勉強になるのよ。
デザイナーって分かる? 服のね、素材とか形とか、いろいろと決めるの」
田舎娘には分からない職業でしょ、とばかりにフンと鼻を鳴らして答えた。
「そうなんですか、デザイナーを目指してらっしゃるんですか? スゴイですね」
目を輝かせる小夜子に、
「どう?やってみない? 簡単だとは言わないけど、あなたなら出来るわよ。美人だもの、映えるわよ」と、そのプライドをくすぐった。
皮肉の意味で告げた美人という言葉に、小夜子はピクリと反応した。
村一番だと皆が騒ぎ、自身も自負している小夜子には、最高の褒め言葉だった。
「ほんとに出来ます?」
やってみたい思いと都会人の前だという気恥ずかしさとで、気持ちが揺らぐ小夜子だった。
傍らの正三はと言えば、ただもう驚くばかりだった。
“小夜子さんが、舞台に上がるんだ。きれいだろうなあ、ステキだろうなあ”。
誇らしく感じるとともに、遠くへと離れて行く小夜子に戸惑いも感じた。
“今の僕は、彼女の下僕と何ら変わらない。どうすればいいんだよ”。
そんな打ち沈んだ表情の正三に気付いた小夜子は、勝ち誇ったように言った。
「わたし、出ます」
ショーの始まりと同時に、アナウンスが流れた。
「紳士淑女の皆さま、お待たせをいたしました。
これより、マッケンジー氏による最新モードの発表をさせていただきます。
どうぞ、心ゆくまでご堪能ください」
大きな拍手が沸き起こり、カメラのフラッシュがそこかしこから焚かれた。
小夜子はといえば、マッケンジーの指示により、ステージ正面に陣取っていた。
正三は小夜子から離され、立ち見に回っていた。
「どうしてこんな子が、ここに居るのかしら?」
「どちらかの、ご令嬢では?」
「でもそれにしては、貧相なお洋服ですわよ」
周りに座る淑女たちが、訝しげに小夜子を見ている。
痛い視線を身に受けながら、“早く呼んで!”と、居たたまれぬ思いの小夜子だった。
まさに、戦争だった。激しい怒鳴り声の中を、ベルトコンベア上を押し出されるが如くに、モデルたちが送り出される。
ステージに現れるとにこやかに笑みをふりまき、戻ると眉間にしわを寄せて服を取り替える。
大きな溜息の中、順調にショーは進んだ。
突然会場の灯りが暗くなり、スポットライトが一人の少女を浮き上がらせた。
「さぁてご来場の皆さま、本日の特別ゲストの登場です。ミィス、サヨコ嬢!」
マッケンジーの手が小夜子に差し出され、ゆっくりと小夜子がステージに上がった。
しかし大きな落胆のため息が、そこかしこから洩れた。
「なあに、あれは。田舎娘じゃない?」
「どういうことなの、これは。あんなやぼったい子が、特別ゲスト?」
「では、ミスサヨコ嬢の変貌をご期待ください!」
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